2004年行政事件訴訟法改正により、抗告訴訟に義務付け訴訟と差止め訴訟が新たに法定されたが、これらの訴訟の性質及び訴訟物(裁判所の審査の対象となる事項)については、見解が分かれている。そのため、我が国における抗告訴訟の中心的存在である取消訴訟の性質及び訴訟物に関する議論を踏まえ、またドイツにおける議論も参考にして検討した結果、これらの訴訟がいずれも行政処分の作為・不作為の違法性の審査を訴訟物とする訴訟であって、民事訴訟のような請求権に基づく訴訟ではないとの構成が可能であり、これによって取消訴訟・義務付け訴訟・差止め訴訟の性質及び訴訟物の統一的把握が可能であるとの結論を得た。
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