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2013 年度 実施状況報告書

ネットワークとしての行政とその正当性ー多様な関係構造における行政法の再構成

研究課題

研究課題/領域番号 24530022
研究機関名古屋大学

研究代表者

稲葉 一将  名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50334991)

キーワード公法学 / 行政法学 / ネットワーク / figuration / profession / コミュニティ放送 / 生活困窮者 / 支援
研究概要

今年度は、昨年度の研究活動によって確認された課題(ネットワークのconfigurationが、「当事者」によって可変的なものとなりうるための条件を、具体的素材に即して論証すること。)の解消を目指して、研究活動を行った。
本研究では、(1)情報法領域におけるネットワーク、および(2)若者を包含する生活困窮者の支援ネットワークを素材とすることが、昨年度に確認されていた。今年度は、これらのうちの、(1)についての研究に進展があった。すなわち、複数の研究者とともに登米コミュニティエフエム局を訪問して聞き取りを行い、聞き取りの記録と研究成果の一部を活字にして、共同執筆により「地域放送のもうひとつのモデルを求めて―登米コミュニティエフエム」と題する研究ノートを公表するところまで作業が進んだ。同局は、地方自治体からの補助金を拒否しながら、地域社会からの広告収入を財源とする特色あるコミュニティ放送局である。地域社会からの信頼を獲得できているのは、同局が、より具体的には同局長が、その活動の特色を公言できること(profession)による。ネットワークの結び目である主体(もっと細分化していけば組織を構成する個々の人)が、どのような主体であるべきか、このいわゆるプロフェッション論は、上記の研究ノートでも、検討されている。
ネットワーク論が規範論たりうるとすれば、この一部を構成する主体の意識の分析とともに制度が論じられなければならない。主体の意識調査を試みたのが今年度であった。来年度においては、制度と国家=法制度との違いも含めて、制度の考察が課題となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度に行われなければならない研究活動は、ネットワークの実例を発見して、これを調査して、ネットワークを構成する主体の意識を調査すること、であった。実例である、老人の生活支援を行うNPOの活動や、特色あるコミュニティ放送局を調査するだけではなく、ヒアリングの結果を共同執筆の「研究ノート」として公表できたので、おおむね順調に研究が進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

二年間の研究活動は、日本国内の実例である若者や老人などの生活困窮者の支援や地方自治体の財政的支援を拒否しながら商業目的でもないコミュニティ放送局の実践を主たる素材としつつ、問題を整理するものであった。この研究活動自体の限界(研究対象の限定)を自覚しているが、今後は、二年間に整理してきた問題群に即して、制度や国家=法制度の次元で論点を再検討することになる。まだ曖昧であるが、いわゆる国家による「再規制」などという国家行政への授権と統制という発想ではなく、これとは異なり、国家行政がネットワークに解消する場合に、解消されるべきという観念(規範論)を考察するものとなるだろう。このアイデア自体は、既に本研究代表者も活字にしているが、このアイデアをより具体化し、また深めるための参考資料を収集したり、研究会を通じてコメントを得ることが今後の研究計画となる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 地域放送のもうひとつのモデルを求めて―登米コミュニティエフエム2013

    • 著者名/発表者名
      井上禎男、稲葉一将、西土彰一郎、中村英樹
    • 雑誌名

      福岡大学法学論叢

      巻: 58巻3号 ページ: 571頁、607頁

  • [雑誌論文] 国庫負担金の争訟方法-摂津訴訟2013

    • 著者名/発表者名
      稲葉一将
    • 雑誌名

      磯部力ほか編『別冊ジュリスト地方自治判例百選[第4版]』

      巻: - ページ: 193頁

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公開日: 2015-05-28  

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