研究課題/領域番号 |
24530023
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
曽我部 真裕 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80362549)
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研究分担者 |
田近 肇 岡山大学, 法務研究科, 教授 (20362949)
井上 武史 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (40432405)
奥村 公輔 駒澤大学, 法学部, 講師 (40551495)
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キーワード | 憲法裁判 / イタリア憲法裁判所 / フランス憲法院 / ベルギー憲法裁判所 / スペイン憲法裁判所 / 民主的正統性 |
研究概要 |
平成25年3月18日に平成25年度の研究計画について打ち合わせを行い,同年度については基本的には各自で研究を進め,年度末に研究会を開催して全員の研究成果について議論することとした。 平成25年12月21日,京都大学で研究会を開催し,研究分担者の田近が「イタリア憲法裁判所の制度と運用」と題する報告を行った。 平成26年1月25日,PARK in Soo教授(韓国・嶺南大学校)を京都大学に招聘して研究会を行い,フランスの憲法院と韓国憲法裁判所との比較について議論を行った。 平成26年3月21日,駒沢大学で研究会を開催し,研究分担者の曽我部,井上,奥村及び研究協力者のペドリサが報告を行った。 活字化された本年度の研究成果は以下のとおりである。曽我部真裕「フランスにおける違憲審査制度改革」比較憲法学研究25号(2013年),田近肇「イタリアにおける憲法裁判所と国会」岡山大学法学会雑誌63巻4号(2014年),奥村公輔「ベルギー憲法裁判所関係法令集」駒澤大学法学部研究紀要72号(2014年)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各研究分担者が担当する国の憲法裁判所の概要を把握することを目指した平成24年度に引き続き,平成25年度は,概要把握の中で見出した各国の特徴的な点に着目し,より的を絞って研究を深めることを目指した。 論文の形で成果を出すことができたのは一部に留まったが,年度末に行われた研究会では,各分担者の問題意識に沿ったより立ち入った内容の報告がなされたことからすると,研究目的は概ね達成されていると言えよう。今後,これらの報告を論文として公表する用意を早急に進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は本研究の最終年度であるため,引き続き研究を進めるとともに,成果を単行本として出版する準備を進める。 各研究分担者の具体的なテーマとしては,下記のようなものを考えている。曽我部真裕は,議会審議の明確さと誠実性の原則を通じた,憲法院による議会審議の合理化の諸相について研究を進める。 田近肇は,憲法裁判所の判決が通常裁判所・行政裁判所に対して有する効力,または,国と州との権限に関する争いを裁定するという憲法裁判所の権限に着目して地方制度に対する憲法裁判所判決の影響について考える。 井上武史は,フランス2008年7月憲法改正での事後審査制導入に伴って生じた法的問題のうち,とりわけ,違憲判決の効果・効力論に焦点をあてて検討を行う。 奥村公輔は,ベルギー憲法裁判所は立法不作為については無効とする権限を有していないものの,立法者に対して立法する指示を与えることができるとされている点に注目し,憲法裁判所による立法不作為に対する違憲審査の研究を行う。 ペドリサ・ルイスは,憲法訴願等を通じて、外国人が憲法裁判所にアクセスする状況を調べる予定である。憲法裁判所の判例により蓄積された外国人の基本権をめぐる「セオリー」はもちろんのことであるが,実際に憲法裁判所に持ち込まれる事件のうち,外国人を当事者とするものの割合はどれほどなのかという「プラクシス」を分析する。そうすることにより、憲法裁判所は憲法上機関として外国人の権利保障にどの程度までコミットしているかを実証的に解明したい
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