現実の害悪の除去・予防よりも、市民の「安心感」の維持向上を重視する象徴的立法(symbolosche Gesetzgebung)が増産される現状および理論の分析を通じて、①立法に対する民主的正当性の付与と立法に対する法治国家的統制という2つの憲法的要請の持つ緊張・補完関係の構造を意識しながら、②その背後にある民主主義の制度的構造についても検討を加え、③それらの検討を基に「あるべき立法」についての憲法規範意識の抽出は可能か否かを考察の対象とした。その具体的実例として、日本における自治体ポピュリズムの問題や、ドイツにおける秘密保護法制や選挙制度の問題をなどを中心に検討した。
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