研究課題/領域番号 |
24530031
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山元 一 慶應義塾大学, 法務研究科, 教授 (10222382)
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研究分担者 |
横山 美夏 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80200921)
松本 英実 青山学院大学, 法学部, 教授 (50303102)
高山 佳奈子 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30251432)
齊藤 笑美子 茨城大学, 人文学部, 准教授 (20456297)
武田 芳樹 山梨学院大学, 法務研究科, 准教授 (00546327)
石塚 智佐 城西国際大学, 経営情報学部, 助教 (30614705)
北島 周作 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (00515083)
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キーワード | 憲法 / 規範的規制力 / グローバル化 / 国際法秩序 / 刑事法秩序 / 民事法秩序 |
研究概要 |
平成25年度は,1990年代までにおける戦後諸制度と判例・学説の発展を踏まえた上で,グローバル化によってもたらされた現代日本社会の変動によって規範秩序及び憲法の規範的規制力がどのように変化し,現状において憲法にどのような規範的規制力が求められるに至っているかについて検討した。現代日本社会の構造的変容の中で自由・平等・公正・安全観がどのように変化し,そのことのゆえに,1 経済的秩序をめぐる諸問題,2 民事法分野,3 刑事法分野, 4 国際法秩序との関連,においていかなる変化が生じ,憲法の規範的規制力についていかなる問題状況が生み出されているかについて検証した。 より具体的には,グローバル化が求めている諸政策の形成・実現との連関及び対抗で,経済的秩序として何が観念されるべきか,民事法および刑事法の基本原理として何を観念し,それらを憲法の規範的規制力とどのように関係づけるべきかについて検討し,民事法の解釈・刑事法の解釈にとって憲法の規範的規制力がいかなる役割を果たすべきか,国際法秩序と憲法はどのように関連するべきか,について検討した。 とりわけ,重点をおいて検討したのは,1 経済的秩序をめぐる問題に関して,日本の社会経済秩序を構成する社会経済政策・経済市場の設計・規制緩和が憲法の規範的規制力とどのように関連するか, 2 私法の基本原理と憲法の関係について,主に人権価値との民事的法規の関係性について, 3 刑事法分野に関して,憲法規定の立法権に対する規制力の再定位,憲法的諸価値の擁護の名の下に基づく刑事法規制の正当化とその制約をめぐる諸問題, 4 国際法秩序にかかわっては,国連システムが憲法解釈に与える影響を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題における分節化された様々な論点について,研究代表者および各研究分担者間の討議も活発に行われるなど,順調に研究は進展した,と考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,平成24年度及び25年度において得られた研究成果をふまえて,憲法学の役割の再定位を試みる。(α)「分野分担」思考――それぞれの法分野がそれぞれの仕方でグローバル化に対応し,憲法の規制力の低下を好意的に受け止める考え方,と,(β)「憲法秩序」思考――それぞれの法分野のグローバル化への対応に一定の規制力を及ぼすことができるように憲法秩序を再定位させる考え方――――を対立軸として設定し,各法分野ごとにそれぞれの思考の適用可能性と限界を検討する。具体的には,憲法分野内部における精神的自由にかかわる領域と経済的自由にかかわる領域,民事法分野・刑事法分野・国際法分野のそれぞれにおいて,いかなる意味と程度において憲法の規範的拘束力を求めるべきかについて,立体的に議論を行い,このような作業を通じて,総括的に憲法学の役割の再定位を試みる。また,本研究成果を,Harvard Law Schoolグローバル法政策研究所で英語により発表し,日本法の経験を世界に発信することを予定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
清算を行ったところ,本年度においてわずかな額の残余金が生じたため。 研究費の配分を受けた研究分担者が次年度に使用する。
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