研究課題/領域番号 |
24530032
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
松平 徳仁 神奈川大学, 法学部, 准教授 (70554872)
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キーワード | ネイションビルディング / 立憲主義 / 民主化 / 植民地主義 / 台湾 / アメリカ |
研究概要 |
1)研究成果の公表 2012年度に、京都・日文研で、東アジアにおける立憲主義と民主化の緊張関係の事例研究として、日本植民地支配下の台湾をめぐる憲法学の論争について報告した。2013年度には、同報告の内容を、本研究を最終的にまとめる単行本の一章分として、論文「立憲主義と植民地主義の齟齬と共振――2つの台大憲法学」を書き上げ、酒井哲哉=松田利彦編『帝国日本と植民地大学』(ゆまに書房)所収のかたちで、2014年2月に刊行された。 2)海外での調査等 2013年8月~9月、アメリカ・ワシントン大学(シアトル)ロースクールの客員研究員(visiting scholar)として、同大学のアジア法・比較法研究者との交流や、本研究を遂行する上で不可欠な同大学の東アジア関係蔵書の調査研究を行い、新しい論文執筆に必要な材料を入手した。また、滞在の終盤にボストンを訪問しハーバード大学ロースクール東アジア法研究の責任者(William Alford教授)と懇談、本研究最終まとめの口頭プレゼンを同校で行うことで合意した。時期は2014年9月か、2015年夏と予定している。 3)海外での調査等 2014年3月、調査研究を兼ねて、台湾・台北を訪問した。台湾大学で第2回の「比較憲法若手ワークショップ」(comparative constitutional law workshop for young scholars)が開催され、それに出席したほか、比較憲法部門の葉俊栄教授、張文貞教授、黄昭元教授、アメリカ・シカゴ大学の比較憲法担当であるTom Ginsburg教授と意見交換を行った。本研究の結論部分について考察をしており、たいへん有益な意見交換であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度は、中間的段階として、比較憲法研究の一部としての本研究の理論的基礎を固めたうえで、国内外の研究者交流や調査を通じて、理論の応用および事例研究の範囲・対象を具体的に行う段階と位置づけていた。そしてネイション・ビルディングと民主化・デモクラシーの結合、民主化の内容とかたちを限定する立憲主義、その立憲主義と民主化の緊張関係が本研究の基本命題であるが、それらは2013年度中におおむね確認できた。中間的な研究成果の公表も達成されている。以上から、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
予定どおり、本研究の総論部分(理論的な枠組みと俯瞰図)と結論部分を文字化する努力をしていく。ことし6月にはドイツでの調査研究、国際憲法学会での研究者交流を、8月~9月にはアメリカでの研究成果の補完・公表を計画しているが、本年度中に雑誌論文のかたちで公刊を先行させ、全体的な研究成果の公開を2015年中に行いたい。
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