研究課題/領域番号 |
24530038
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
辻 美枝 関西大学, 商学部, 准教授 (00440917)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 保険 / 所得課税 / 租税法 |
研究概要 |
本研究は、いわゆる伝統的な保険のみならず、ファイナイト保険およびキャプティブ保険を含む保険代替手段を研究対象の射程に含め、保険会社等がリスク移転を行う場合の法人所得課税上の問題について比較法分析に基づき検討を行う。もって、リスク移転が行われる場合のあるべき法人税制の新たな構築を試みようとするものである。 平成24年度は、研究初年度として、伝統的な保険、ファイナイト保険およびキャプティブ保険の法的分析に必要な基礎的調査研究を行った。保険法上あるいは保険業法上、保険の定義を一義的に定めておらず、税法上もその定義規定を別段設けていないため、保険の法人所得課税上の取扱いは明確でない。また、先行研究においても、伝統的な保険とそれ以外の保険代替手段の課税上必要な法的分析は十分に行われていない。本研究において、その異同を明らかにすることは、課税判断(例えば損金性の有無)上の区別の必要性を考慮するために重要な要素であり、前段に記した本研究の目的を達するために欠くべからざるものである。 そのため、まず、本研究に関連する国内外の文献を、International Bureau of Fiscal Documentationをはじめとする国内外の図書館・研究機関、およびLexis、Juris等の各種データベースを有効に利用して収集し、整理・分析を行った。さらに、9月にボストンで開催されたInternational Fiscal Association(IFA)の年次総会に出席し、各国の租税法研究者と情報交換を行い、知識の習得を図った。特に、Victoria University of Wellington のJohn Prebble教授と、保険取引を含む金融取引の課税のあり方について直接ディスカッションを行うことができ、本研究課題について有益な示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、本研究課題の基礎的調査研究に主眼を置き研究活動を行ってきた。「9.研究実績の概要」に記したように、現時点までに、可能な限りの文献、資料および情報の収集をし、それらの整理・分析を行った。それにより、国内税法上および国際課税上の問題分析を行う予定である平成25年度以降の応用研究に必要な準備を整えることができている。平成24年度の基礎的調査研究の成果について、中間報告を平成25年7月に関大租税法研究会にて行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降は、本研究課題の第二段階として、主に再保険取引とキャプティブ保険取引の国内税法上および国際課税上の論点を整理し問題分析を行う。さらに、法人所得課税上考慮すべき要素を探求し、望ましい法人税制のあり方についての検討を行う。 そのために、平成24年度に引き続き、国内外の図書館・研究機関および各種データベースを有効に活用して国内外の関連文献の収集に努める。また、IFAの年次総会に出席し、各国の租税法研究者および欧州委員会のメンバーとの情報交換を行い、本研究課題に関する最新の情報を入手する。入手した文献、資料および情報を整理・分析し、その結果を租税法研究会において報告し、そこでのディスカッションを研究にフィードバックさせる。国際課税に造詣の深い村井正関西大学名誉教授、宮本十至子立命館大学教授と常に意見交換を行う。これにより、本研究を発展させ、最終的に成果論文を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述の「今後の研究の推進方策」を具体化するべく、大学図書館および研究機関等での資料・情報収集を行うために東京出張を予定しており、そのために使用する。
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