研究課題
最終年度である平成26年度は、地域貿易協定を通じた規制の国際的調和の実証研究として、競争政策・競争法の国際的調和につながる国有企業に対する財政上・規制上の優遇の統制をめぐる最近の自由貿易協定の規定を分析し、さらに環太平洋パートナーシップ協定(TPP)における国有企業規制の予想される内容にも触れた日本語及び英文の論文を取りまとめた。研究期間全体を通じて、1990年代以降に締結された多数の自由貿易協定を取り上げ、そこにおける経済規制の国際的調和の動向を実証的に分析し、分析結果を多数の研究論文として公表した。1990年代以降、産品の製造やサービスの供給が複数の国に分散して行われるサプライチェーンないしバリューチェーンのグローバル化が進行している。こうした活動に従事する企業は事業展開する複数の国家における規制の国際的調和に強い期待を寄せる。最近の自由貿易協定が規制の国際的調和に熱心に取り組むようになった背景にはこうした企業からの要請・期待があるので、今後も自由貿易協定を通じた規制の国際的調和が進められてゆくだろう。ただし、締約国が企業の期待に応えて規制の国際的調和を進めようとしても、各国は正当な公共政策のために規制主権を行使する以上、そこにはおのずと限界がある。そこで、国際的調和に至らないさまざまな調整・協力の方策が模索されることになる。規制の国際的調和から、国際的調和を含めたより広範囲の規制協力に対象を広げ、地域貿易協定がこのためにどのように用いられているかを明らかにすることが重要である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件)
国際法外交雑誌
巻: 113巻3号 ページ: 56, 73
World Financial Review
巻: July/August ページ: 34, 36
貿易と関税
巻: 62巻4号 ページ: 13, 33
巻: 62巻5号 ページ: 4, 30
巻: 62巻6号 ページ: 4, 23
日本国際経済法学会年報
巻: 23号 ページ: 4, 25
日本経済新聞
巻: 4月23日朝刊 ページ: 29