研究課題/領域番号 |
24530045
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅田 正彦 京都大学, 国際公共政策研究科, 教授 (90192939)
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キーワード | 国際法 / 国連 / 集団安全保障 / 経済制裁 / 実効性 / 安保理決議 / 人権 |
研究概要 |
平成24年度は、国連の経済制裁の実効性確保に関する研究の前提作業として、国際連盟における経済制裁の制度的枠組みとその実践過程、および、国連における経済制裁の制度的枠組みとその初期の実践過程について考察し、両者の比較検討を行った。平成25年度および平成26年度は、前年度の検討を踏まえたうえで、本研究のコアとなる部分としてポスト冷戦期における経済制裁の実践的研究および法的分析を行うこととした。 その初年度としての本年度は、資料分析として経済制裁決議の採択過程について、安保理議事録を中心に検討を行うとともに、それぞれの制裁決議に基づいて安保理の下に設置された制裁委員会の報告書や専門家パネルが設置された場合にはその報告書を検討し、経済制裁の実践においていかなる問題があるのかについて分析を行った。その結果、制裁の実施に当たっては、制裁を迂回する手法に関して共通する問題点があることが判明した。 上記の資料分析とは別に、大量破壊兵器や通常兵器の禁輸さらには金融制裁について、専門家へのインタビューを基礎として、主として法的な側面を中心に検討を行った。平成25年9月には、ウィーンで行われた国際原子力機関(IAEA)の年次総会に出席し、同総会に参加した専門家へのインタビューを通じて、核関連の資器材の禁輸にかかる実践上の問題点を把握し、検討を加えた。また、国内における学会活動の中で、金融制裁に関する専門家と意見交換の機会を持ち、そこで得た知見をもとに、法的なおよび実践的な側面からの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画どおりに進行している。平成25年度と平成26年度が本研究のコア部分をなすが、平成25年度は資料分析とインタビューを基礎とした実践的な検討とを並行して進めており、これも計画通りである。平成26年度も基本的に同様の研究計画の実践となる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度に引き続き、ポスト冷戦期における経済制裁の実践に焦点を当てつつ、資料分析を通じてその多様な実践の分析を行うとともに、専門家へのインタビュー等を通じて得た知見を活かしつつ、事例横断的に法的側面の分析に努め、来年度におけるとりまとめにつなげたい。なお、上記のように、研究はおおむね順調に進展していることから、研究計画の変更の必要性は特に感じられない。
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