国際家事事件における調停について、特にハーグ条約との文脈で、多くの国で執行時点で様々な困難が生じており、関係各国でそれぞれに執行を確保する手段でしか問題が解決されていない現状が理解できた。また、日本固有の問題として、従来型の家庭裁判所付属の家事調停システムは、欧米型メディエーションと重要な部分で多くの異同が見られ、いわゆるメディエーションとみなされない可能性が極めて高いことが認識された。そのため、日本の現行の調停システムで得られた合意については、各国それぞれに執行を確保する手段すら難しく、民間メディエーションの一層の発展および適切なメディエーターとしての人材養成が求められることがわかった。
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