研究課題/領域番号 |
24530053
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
薬師寺 公夫 立命館大学, 法務研究科, 教授 (50144613)
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研究分担者 |
坂元 茂樹 同志社大学, 法学部, 教授 (20117576)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際人権規範 / 国際司法裁判所 / 普遍的定期審査 / アジア諸国と人権 |
研究実績の概要 |
「人権規範と一般国際法規範への影響とアジア諸国の対応」では、①国際司法裁判所の国際法の規範論理構造に対する理解の仕方の変遷とともに、②そうしたインパクトに対するアジア諸国の対応の仕方を分析することをめざした。 この研究企画を実現するために、研究代表者と研究分担者は、上記①を代表者の薬師寺が担当し、上記②を研究分担者の坂元が担当した。また、2012年度には、代表者がシンポジウムでミュンヘン大学に行き、2013年度にはフィリップ・オールストン氏とラフェンディ・ジャミン氏を招いてミニ・シンポジウムを開催し、またゲオルグ・レス教授を大学に招いてインタビューを行った。2014年度にも元外務省の高松明氏を招いてインタビューを行い研究目的に必要な知見を得た。 これらを踏まえて、②については研究分担者の坂元茂樹が昨年度"The Universal Periodic Review: Between the Ideal and the Reality"世界人権研究センター『研究紀要』第19号に論文を発表し、あわせて「『平和に対する権利宣言案』の作業が示す諮問委員会の課題」『国際人権』第25号を発表した。これで初期の目標は、基本的に達成した。 他方、上記①の課題については、代表者薬師寺が2013年に「強制失踪条約における非国家主体の人権侵害行為と締約国の責任」を執筆し、人権と刑事犯罪の側面からICJのジェノサイド条約適用事件との対比で、強制失踪条約における非国家主体の扱いを論じ、2014年度に「国際司法裁判所における個人の権利の認定とその法的効果に関する覚書(1)」立命館法学第355号でその中心的テーマの前半を公表した。この後半とともに、関連する2-3本の論文が2015年度に予定されており、この完成をもって当初の目的を達成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は平成24年度から平成26年度までの予定であったが、ILAの人権部会での出版計画及びそれに伴う研究会等の予定が、平成27年度にずれ込んだこと、並びに、研究代表者及び分担者が本研究を推進するためにともに参加している世界人権問題研究センターで平成26年度から新たにアジア諸国に焦点を置いたUPRの検討を開始していることから、研究の当初の目的をよりよく達成するために事業計画の1年延長を申請して受理された。 現在、成果をまとめた2から3の論文を執筆中又は準備中であるが、今年度中に完成して発表をする予定であり、これをもって当初予定していた目標は、これまでに発表してきた研究成果とあわせて、達成できると考えている。 以上の事情から、「やや遅れている」という区分に印をつけたが、補助期間延長承認を受けたことで初期の目標が達成できると確信している。
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今後の研究の推進方策 |
研究目標の①国際司法裁判所の国際法の規範論理構造に対する理解の仕方の変遷に関連しては、研究代表者の薬師寺が、その前半部分を「国際司法裁判所における個人の権利の認定とその法的効果に関する覚書(1)」に執筆し、現在その後半を執筆中であり、またこの点に関する英語での論文をILA人権部会が出版を企画している著書に掲載するように推薦を受けている。また、ICJの刑事関連の判決への影響にふれた「拷問禁止条約における容疑者所在地国の義務に関する覚書」も、最終完成をめざして今年度中に刊行される『国際法の実践』に掲載予定である。また、「グローバル化と国際人権-国連の人権保障制度における国際機関と国家」についても『国際問題』6月号にに寄稿する予定である。これらの完成によって所期の目的を達成する。このために必要な会合、知見を得るために補助期間延長で認められた科研費を充当する。 他方、人権規範のインパクトに対するアジア諸国の対応の仕方を検討するためにUPRにおけるアジア諸国の対応を分析した研究分担者の作業は、The Universal Periodic Review: Between the Ideal and the Reality (世界人権問題研究センター『研究紀要』第19号)寄稿論文で当初の目的を完成したが、今年度は、そこでは扱えなかった国の若干に焦点をあてて捕捉作業を行う。 以上の作業によって、当初の研究目的は基本的に達成できる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年秋に研究論文を2015年度に国際法協会の人権部会で刊行しようとしている書籍に投稿するよう要請があり、それに伴う会合が2015年度に開催されるため、その海外旅費を確保しておく必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
論文をまとめるにあたり、必要とされる海外での会合のための旅費に充当するとともに、最終まとめのための国内調査・会合費並びに課題の最新の書籍購入費に充当する。
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