研究開始時、日米欧を問わず、電気通信産業における事業法と競争法との関係について、関心が高まっていた。同問題につき、米国最高裁と欧州司法裁判所は、全く異なる判断を下したからである。米国最高裁は、事業法が存在する場面において、競争法の役割は小さいとし、欧州司法裁判所は、事業法が存在する場面においても、競争法の役割は大きいとした。両判決が結論を分けた大きな理由は、事業法規制に対する信頼の相違であった。本研究は、事業法規制に対する信頼が競争法の適用方法に影響を及ぼすとの問題関心の下、①競争法違反行為における事業法規制の作用、②競争法違反行為を抑制するための実効的な事業法規制のあり方について研究した。
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