研究課題/領域番号 |
24530063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
中川 純 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50326534)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 障害者 / 雇用 / 賃金 / 就労支援 |
研究概要 |
昨年度は、台湾、オーストラリア、アメリカに行き、資料収集およびインタビューによって研究に必要な情報を得ることができた。 台湾では、労工委員会(日本でいうところの労働省)の2つの局、および障害者の就労支援機関でインタビューをおこなった。日本で台湾の障害者法の紹介がほとんどないことから、昨年度の段階では基礎を固める作業に終始した。 オーストラリアでは、連邦政府教育、教育・雇用および職場関係省障害者雇用サービス局(DEEWR)ディレクターのTirish James氏、家族・住宅・コミュニティサービスおよび原住民省(Fachsia)障害者ケア局の局長であるアンソニー・バートーロ氏にもインタビューをおこなった。DEEWRでは一般雇用における障害者の能力比例型賃金制度について、Fachsiaでは授産施設で就労する障害者に対する能力比例型賃金制度について実態をうかがった。 アメリカでは、障害者雇用に先進的な取り組みをしているワシントン州のキング郡の発達障害者関係局にインタビューに行き、障害者雇用の実態について知ることができた。また、キング郡で就労支援について先進的な取り組みをしているAtWorkという施設を訪れ、カスタマイズド雇用、インテグレーテッド雇用の実態を知ることができた。また、その施設で採用している能力比例型賃金制度についても情報を得ることができた。 昨年度の調査により、障害者に対する賃金制度の意味合いが、その関連する制度によって違うことがわかってきた。オーストラリアではワークフェアおよび福祉への依存の脱却という観点から採用されたこと、アメリカでは障害者を一般企業で採用し、その能力に応じた業務をカスタマイズすることにより、所得の確保をめざしており、最低賃金や能力比例型賃金はあまり活用されていないこと、などがあきらかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究は想定していた以上にさまざまな情報を得られたことから研究全体の進捗は順調であったといえる。しかし、いまだ研究途上の部分が多く、論文などのかたちでまとめられていないという点では十分でない部分があるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度については、オーストラリアの障害者に対する能力比例型賃金に関する論文をまとめるために、9月上旬にオーストラリアに赴き、確認の調査をおこなうこととする。台湾については、10月下旬に障害者雇用の実績の企業を訪問し、賃金について調査をおこないたい。アメリカ、カナダについては3月に行き、障害者の就労の実態と能力比例型賃金の調査をおこないたい。台湾、アメリカについては3年目のためにさらに基礎を固めるつもりである。 来年度については、オーストラリアで進められている障害年金制度改革について研究をすすめたい。台湾については、障害者に対する就労支援の実態と最低賃金の適用の問題について論文を書く予定である。アメリカについては、障害者雇用について先進的な取り組みをしているワシントン州、オレゴン州などの就労支援の実態とその中における能力比例型賃金制度の意義について論文を書く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度については、9月にオーストラリア、10月に台湾、3月にアメリカ、カナダに調査に行く予定である。調査に際しては滞在が10日から2週間であり、費用が必要であることから、繰り越した研究費については渡航および滞在費に充てる予定である。
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