研究課題/領域番号 |
24530067
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石井 徹哉 千葉大学, 大学院専門法務研究科, 教授 (20351869)
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研究分担者 |
矢野 恵美 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (80400472)
渡辺 卓也 筑波大学, ビジネス科学研究科(系), 准教授 (90350454)
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キーワード | 情報刑法 / 刑法 / プロバイダ責任 / 児童ポルノ / 北欧刑法 |
研究概要 |
前年度における基礎調査及び研究ついて,石井が刑法学会におけるワークショップでオーガナイザーとなり,基本的な問題提起を行いつつ,渡邊が不正アクセス禁止法に関する問題点を報告し,他の会員とともに議論を行うことで,研究の妥当性を検証した。 さらに,今年度は,比較法研究を中心として実施することとし,欧州における情報刑法の状況を海外との研究者との意見交換を交えて調査した。とりわけ,矢野によって実施されたスウェーデンにおける情報関係の刑事法制に関する調査研究によって,わが国とだけでなく,わが国の刑法学が密接に関連するドイツ語圏の刑事法制とも大きく異なることが判明し,現在その成果をとりまとめているところである。 また,プロバイダの刑事責任,ネットワークにおけるリンクの設定,犯罪を構成しうるデータへのURLの記載の問題などを手がかりとして,刑法総論における情報刑法が関連する諸問題を調査研究し,論文として成果を発表した(石井)。その結果,総論的課題として,一般的な立法政策の問題がなお残ることが判明し,これは翌年度の課題とした。また,各論的課題として,有害な情報の規制,児童の保護などの諸問題だけでなく,情報それ自体を刑法上の保護の対象としていかに位置づけるのかについても,前者問題と関連づけて調査研究した。少なくとも,わが国のように有体物を基礎として保護のあり方は,今後極めて困難な状況があるとの感触を得ており,翌年度に研究成果をとりまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究の実施計画に基づいて,着実に調査研究が進んでいるだけでなく,口頭発表を通じて学会からの一定のフィードバックもえて,これに基づき調査研究を軌道から逸れないようにコントロールできている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の調査研究から,ネットワークにおける情報の保護という点に関して,立法政策的な問題がなお解決すべきことが判明しており,この点を追加して研究をとりまとめることが必要である。 そのほかは,当初の研究計画通りに実施することで所定の成果を達成することが可能であると考えられる。
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