研究課題
1.連携研究者・研究協力者の参加も得て、経済刑法研究会を4月、7月、11月、1月に開催し、最近の関連立法や外国法、実務の展開について報告・討論を続けた。2.6月に大阪商業大学にて開催されたアジア犯罪学会においてセッション「東アジアの経済犯罪(1)(2)」を企画し、武漢大学・台湾大学の研究者を招へいして活発な意見交換を行った。この成果をふまえ、7月に甲南大学にて開催された日本刑法学会関西部会において共同研究「経済刑法の理論的基礎とグローバル化のインパクト」を実施し、関連テーマについてさらに理論的深化・精密化を図った。3.11月には華東政法大学・山東大学の研究者を招へいして「日中経済刑法研究会」を京都大学で開催し、「悪質商法、詐欺罪と経済刑法」を中心テーマとして両国からの報告を得、最新の実務・理論の比較検討を行った。4.本課題の研究成果をもとにした論文・翻訳等の公表も国内外で順調に進んでいる。特筆すべきなのは、ドイツや中国での出版も実現したことである。5.今年度が本課題の最終年度であったが、全体として充実した成果を上げることができており、次年度以降も関連する研究を進める基盤が確実なものとなった。とりわけ、中国・韓国・台湾の中堅および若手世代研究者との間で、単に自国の法制度や事件を紹介しあうのではなく、刑事法の体系や制度論にわたる理論的な検討ができるようになったことは、刑事法学界全体への寄与になったと考えられる。日本への留学生、および、留学後に母国の有力大学の教職に就いた優れた若手研究者との研究協力関係の構築は、大きな実績として挙げられる。
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