我が国の矯正施設の収容者に占める精神障害者の割合は、平成23年に2桁に達して以降、漸増し、平成27年(2015年)の統計によれば、入所受刑者については13.1%、少年院入院者については16.6%を占め、、在所受刑者に占める精神障害者の割合は19.4%と更に高くなっている。しかしながら、そうした精神障害受刑者が釈放される際に、地域社会で確実に治療が継続される仕組みは存在しない。そして、我が国でも、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案」が審議されていた平成17年(2005年)5月17日の参議院法務委院会において、「精神医療については、出所後も引き続き必要な医療が確保されるよう、体制の整備を検討すること」との附帯決議がなされている 。 そこで、本年度は、仮釈放者、満期出所者への精神科医療提供の問題について、それらの解決に示唆を与えてくれるアメリカの取り組みを概観しつつ、今後の我が国のあり方について検討を行った。
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