医療観察制度を整備したことにより、犯罪を行った精神障害者の一部については手厚い医療が講じられ、強制通院制度をも通じて社会復帰の促進が図られるようになった。しかし、医療観察法の対象者は、責任能力に問題のある者に限定されているため、精神障害に罹患していることが社会復帰の妨げとなるような受刑者が釈放される際に、地域社会で確実に治療が継続される仕組みは存在しない。我が国にも、入院制度だけでなく地域での治療継続が可能となるシステムが必要である。その観点から見たとき、ニューヨーク州における「釈放後精神保健計画」の策定義務付けと、「精神科強制通院制度」という枠組みは、我が国でも検討に値するように思われる。
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