研究課題/領域番号 |
24530075
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
松澤 伸 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (20350415)
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研究分担者 |
吉中 信人 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (60284147)
田川 靖紘 愛媛大学, 法文学部, 講師 (80611178)
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キーワード | 刑法 / デンマーク刑法 / イタリア刑法 / ノルウェー刑法 / 共犯 / 統一的正犯概念 |
研究概要 |
本研究の目的は、イタリア、デンマーク、ノルウェーにおいて採用されている統一的正犯概念について研究し、最終的にわが国の議論に応用することが可能か否かを検討することを目的とするものである。これまで、イタリア、デンマーク、ノルウェーの刑法は、言語の問題もあり、わが国では研究対象とされにくく、これまでに、日本語による研究業績はほとんど見られない状況であり、特に議論されることもなかった。しかし、本研究により、各国の刑法(とりわけ、共犯のシステム)をわが国に紹介するということも目的としている。 平成25年度は、実施計画に従い、研究代表者(松澤伸・早稲田大学)、研究分担者(吉中信人・広島大学、田川靖紘・愛媛大学)の3名で、海外リサーチ(イタリア:イタリアは、わが国と異なり、統一的正犯体系の刑法典を有している)を行った。パルマ大学において、Albert Cadoppi教授、Michele Boggiani氏ほか3名の研究員にインタビューを行い、犯罪における共同(concorso di persone nel reato : 日本における共犯論)について議論した。また、Stefano Puntinati准教授の案内により、パルマの裁判所において裁判を傍聴することもできた(刑事裁判では、証人尋問を傍聴。)。さらに、パルマ大学の図書館において研究に必要な資料を閲覧することができた。また、デンマーク、ノルウェーと同じ北欧法系に属するスウェーデン刑法について、ストックホルム大学Petter Asp教授による講演を開催できた。本講演では、デンマーク、ノルウェーとの比較もあわせつつ、北欧共犯理論の概要を紹介するもので、本研究にとって非常に参考となった。 平成26年度は、前年度までに得た知見を、わが国で統一的正犯概念を論じる場合、どのように理論的接合ができるのかを研究する。その上で、わが国における統一的正犯概念を明確化する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に計画していた海外リサーチについて、イタリアに限定してはいるが、平成26年度にノルウェー調査を行う予定であり、おおむね順調に進展していると考えている。また、研究成果も3点公表している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、これまでの調査をふまえ、わが国において統一的正犯概念を論じるに当たり、これまでの調査がどのように理論的に接合できるのかを研究し、わが国における統一的正犯概念を明らかにすることとしたい。 なお、平成25年度に実施できなかったノルウェー調査は、今年度行う予定である。平成25年度に予定していたノルウェー調査を、平成26年度に変更したため、次年度使用額が生じた。この分については、ノルウェー調査で使用する。なお、研究代表者については、日本での打ち合わせ旅費としても使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に予定していたノルウェー調査を、平成26年度に変更したため、次年度使用額が生じた。 この分については、ノルウェー調査で使用する。なお、研究代表者については、日本での打ち合わせ旅費としても使用する。
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