研究課題/領域番号 |
24530077
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
松久 三四彦 北海学園大学, 法務研究科, 教授 (10142788)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 時効 / 除斥期間 / 取得時効 / 消滅時効 / 信義則 / 権利濫用 / 援用 / 時効援用権の喪失 |
研究実績の概要 |
時効・除斥期間の適用制限がでてくる背景として、時効期間、起算点が関係してきうるのではないかという問題意識から、従来の裁判例を改めて検討するとともに、民法(債権関係)改正の法律案における時効部分の内容を検討した。 改正法案は、①債権の消滅時効における原則的な時効期間と起算点について二重期間構成(主観的起算点からの短期+客観的起算点からの長期)を採用している。これは、不法行為による損害賠償請求権の期間制限を規定する民法724条と同様の構造を採用しつつ、短期の消滅時効期間を5年とするものである。時効期間が短縮されるほど時効は完成しやすくなるという側面は、時効援用を否定するために適用制限が問題になりやすくなることが推測されるが、それが当たっていれば、3年から5年に時効期間が伸びることで、適用制限という微妙な判断をせまられる事案は減少しそうである。そこで、現在の724条前段の3年の時効において適用制限が問題となった事案では時効期間の長短が影響しているのかどうかという観点から判例の分析を試みた。 また、改正法案は、②生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効について特則を設けているが、そのような特則をもたない現行法のもとでは適用制限の必要性は相対的に高まりそうである。しかし、時効・除斥期間規定の適用制限は、紛争当事者にとって計算可能性がきわめて低いものであることから、適用制限の代替的かつ計算可能性を高める解釈として、起算点を後ろにずらすという判例の流れがあるのではないかという視点から、最高裁判例及び下級裁判所の裁判例を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度から所属大学が変わり、教育科目が増えたこと、また前任の大学での非常勤も加わり、これまででもっとも多くの、かつ、すべて異なる内容の科目を担当した。 それらの準備に多くの時間を要したため、研究テーマにかける時間が当初予定より減少した。そのため、研究期間を1年間延長した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるので、これまでの研究のまとめの作業にはいる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
北海道大学から北海学園大学に所属が変わり、担当科目が増え内容も新たなものとなったこと、また前任の大学でも非常勤講師として勤めたことから、教育に多くの時間がとられた。そのため、研究期間を1年延長した次第である。
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次年度使用額の使用計画 |
①国内図書、外国図書の購入、②パソコン購入、③研究会出席・資料収集のための旅費で、残額すべてを使用する予定である。
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