研究課題/領域番号 |
24530081
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 達徳 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20230972)
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キーワード | 消費者クレジット / 高齢消費者 / 債権法改正 |
研究概要 |
平成24年度に引き続き、平成20年に割賦販売法が改正された後、クレジット取引に伴い生じている消費者トラブルの実態調査を進めるとともに、かかるトラブルに見られる特色や新たな問題点を把握するための調査を進めた。 特に、スマートフォンの購入及び回線契約の締結にクレジット契約が用いられるケースに代表される、電気通信関係の契約トラブルが増加している実態について、業界及び消費者相談窓口への調査を通じた現状の把握に努めた。このことにより、新たな問題として、電気通信事業法と割賦販売法、特定商取引法、消費者契約法等との関連及び消費者保護のための連携・機能分担の検討が必要となっていることが浮き彫りにされた。 平成20年の法改正当時に典型的なトラブル事例として把握されていた過量販売・次々販売、不適正与信の件数は減少していると思われるものの、依然として新たな問題類型が現れてきており、こうした諸問題は、割賦販売法だけでなく、他の消費者保護諸法との関連付けに意を用いることにより、根本的な解決への途が拓けるものと認識されるべきものである。 他方では、この間の日本における研究状況の把握に努めた。 なお、本研究の目的が、クレジット取引の健全な発展に向けた安定的な法制度の構築に向けた法的提言を行うことであることから、取引法それ自体だけでなく、平成24年12月に施行された「消費者教育推進法」及び平成25年6月に閣議決定された「消費者教育の推進に関する基本的な方針」に見られる国・自治体、事業者、消費者等の役割や、消費者教育に向けた事業者の取組みについても、実態の調査・把握を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究は、これまで消費者トラブルの発生と法改正を繰り返してきたクレジット取引の分野に伏在する実務及び法理論上の問題点を改めて分析・検討し、安定的な制度を構築するための法的提言を行うことを目的としている。 3年計画の2年目に当たる平成25年度は、平成24年度から継続してクレジット取引実態のデータを整理・分析するとともに、既存のクレジット取引に関する研究成果を精査することにより、従来の研究の到達点と今後の課題を明らかにするための基礎的知見が概ね得られたものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた検討素材及び研究の方向性を踏まえて、クレジット取引の新たな法理論の提示を行うことを目指す。最終的には、クレジット取引に係る法制度の安定に寄与する法理論を、割賦販売法だけでなく、他の消費者保護諸法との有機的関連にも目配りしながら探っていくこととしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
交付金額を効率的に執行したことに伴い、若干の未使用額が生じた。 上記未使用額は、平成26年度請求額と合わせて、平成26年度の研究遂行に使用することを予定している。
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