割賦販売法の平成20年改正後における取引実態及び理論展開を踏まえて、平成24年度及び25年度に行った研究に引き続き、クレジット取引の発展とクレジット利用者(消費者)の保護を両立させるための安定的制度構築に向けた検討を行った。 平成26年度に進めた研究の結果、前回の法改正後に現れてきた現象として、とりわけ、マンスリークリア取引をめぐる消費者トラブルが特徴として指摘できること、クレジット関連事業者がイシュアーとアクワイアラーに分化し、また、決済代行業者が介在する傾向が顕著になっていること、クロスボーダー取引における法的問題が重要性を増していること、などが、解決を求められる課題であることを明確にした。 平成26年には割賦販売法の改正に向けた動きが始動し、6月から8月にかけて、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)による調査研究「割賦販売法(後払分野)についての有識者意見交換会」が行われた際は、これに参加したほか、9月からは、経済産業省の「産業構造審議会商務流通分科会割賦販売小委員会」の委員に就任し、具体的な法改正に向けた議論に参画することにより、平成24年度以来の研究成果を理論及び実務の両観点から還元するよう努めている。 また、クレジット取引に伴う民事法上の効果を検討する上で不可欠の民法(特に債権関係)の大規模改正が行われる見込みであることから、その議論の帰趨をフォローし、民法改正に向けた議論の現状と問題点、将来の見通しなどについて、研究の成果を公表した。
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