振替制度の法律構成については、有体物に対する証券の「占有」を基礎に組み立てられているが、これは口座管理機関を制度のインフラ機関として捉える発想であり、近時問題となっている口座管理機関の口座名義人に対する貸付金の優先的回収権について整合的な説明ができなくなっている。振替制度はその仕組みから、口座管理機関の行為がなければ口座の振替、制度の運用ができないものであり、その法的地位、機能を踏まえた法律構成が求められる。またこれを前提に、口座管理機関の合意を基礎とする「支配契約」による担保権の設定が、合理的であり今後の金融取引に極めて有用な制度であると思われ、今後どの導入に向けてさらなる検討が望まれる。
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