研究課題/領域番号 |
24530083
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大塚 章男 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (50384863)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コーポレート・ガバナンス / 会社法 / 法と経済学 / 契約理論 / ステークホルダー |
研究概要 |
本研究は、(1)比較法的手法を用いて、コーポレート・ガバナンスを、経済学における契約理論・「組織の経済学」およびステークホルダー・モデルから考察し、(2)従来別個に検討されてきた効率性と公正性との両基準を備えた新たなガバナンス・モデルを探求し、(3)これを法学からも検証する、というものである。 第1年度は、主として米国の法学の分野における、コーポレート・ガバナンスに関する最新の著作・論文を収集し研究することから着手した。また、ハーバード大学ロースクールを訪問し、専門の教授にインタビューすることにより研究を深化させることができた。これと並行して、必要に応じ、米国のコーポレート・ガバナンスに関する近時の経済学の著作・論文を研究した。日本の経済学者にもインタビューを行い、コーポレート・ガバナンスに関する近時の潮流を把握することができた。 米国のコーポレート・ガバナンスの分野における現在の大きな流れである契約理論(contract theory)は、ある種米国の政治・経済における歴史の産物であり、この点を無視しては正しい理解ができない。その重要な要素の一つは、米国が経済における権力の集中を嫌ったことであり、他方で、市場の自由化、効率化を極度に推し進めたことにある。この違いは日本やドイツが辿った歴史と比較すれば明らかである。 こうした点を礎石に第2年目の研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1年度は、主として米国の法学の分野における、コーポレート・ガバナンスに関する基礎資料を収集し研究することを目的としていた。しかしながら、その途上で、米国のコーポレート・ガバナンスに関する経済学上の近時の著作・論文を参考にすることが不可欠であることが判明し、これらの文献を並行して読み解くことになった。日本の経済学者にもインタビューを行って、コーポレート・ガバナンスに関する最新の情報を得ることができた。その意味で、第2年度の目標を一部先行して実行することとなった。 他方で、第1年度の予定であった、英国の2006年会社法に関する文献収集を行い研究することは叶わなかった。これは第2年度以降に実行したいと考えている。 なお、第1年度の研究の実績の一部を、他大学紀要に論文として掲載予定である。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度は、主として日米の経済学の分野における、コーポレート・ガバナンスに関する基礎資料の収集と研究に時間を割く予定である。特に、米国のコーポレート・ガバナンスに関する近時の経済学上の進展についての調査研究を中心に遂行していく予定である。 さらに、米国における契約理論、「組織の経済学」、ステークホルダー・モデル等からのアプローチにつき、最新の経済学の議論状況を踏まえ、この分野で先端の研究を行っているシカゴ大学ビジネス・スクールの教授、コロンビア大ビジネス・スクールの教授等にインタビューをすることにより研究を深め、現地調査により必要な文献を入手したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究テーマに関する日米の経済学の文献の購入費、米国ビジネス・スクール等への調査旅費などにつき、計画書に従い使用する予定である。 なお、24年度に購入予定であった海外書籍は、出版予定とされる25年度に購入予定である。また、外国論文の作成は25年度以降に予定を変更したため、このための校閲費もまた25年度以降に支出予定である。
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