研究課題
1.「適合性原則」は、もともとはアメリカの証券取引の自主規制や監督ルールであったが、わが国においては、ひろく金融商品取引一般のみならず消費者法の領域にも立法化がなされており、消費者契約法という民事ルールとしての導入可能性も模索されている。このような拡がりは、従来、顧客の保護は自己決定を可能とするような情報提供義務を事業者に課すことによって実現されるという「情報提供モデル」が、投資者保護・消費者保護いずれの領域においてもリベラルな法的介入のあり方として中核を担ってきたが、その限界が露呈し、問題点が認識されるに及んだことと関係がある。平成25年度に公表した拙著『適合性原則と私法理論の交錯』(商事法務、2014)は、このことをドイツ・ヨーロッパ法の120年余りの史的展開を追うことを通して明らかにしたものである。平成26年度には、この分析を踏まえ、ヨーロッパにおける金融危機後の金融法制改革の決定版というべきEU第2次金融商品市場指令(MiFID-II)が2014年5月13日に成立したことを踏まえ、フォローアップ調査を実施したうえ、類似の問題を抱えるわが国の状況にリアルタイムな示唆を求めた。また、拙著の分析結果を踏まえ、わが国の裁判例に関する分析を行った。2.平成26年度には、ヨーロッパにおける契約法の統一に向けた議論に進展があったことを受け、現地調査を実施した。EU立法のなかで消費者保護法の占める位置づけ、EU域内における電子商取引の発展を支援する立法のあり方等について、検討を加えた。その研究成果については、国際経済法学会(平成26年11月1日)におけるシンポジウム「地域経済統合と法の統一」において、「ヨーロッパにおける契約法の統一」について報告を行う機会を得た。
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別冊ジュリスト・民法判例百選Ⅱ
巻: No.224 ページ: 10-11
法学教室別冊付録・判例セレクト2014[I]
巻: No.413 ページ: 19
Zeitschrift fuer japanisches Recht
巻: Vol.19 No.38 ページ: 235-247
長谷部恭男ほか編・岩波講座・現代法の動態・4・国際社会の変動と法(図書所収論文)
巻: 4巻 ページ: 25-49
先物・証券取引被害研究
巻: 44号 ページ: 19-32
金融法務事情(金融法学会編集・金融判例研究第24号)
巻: 2001号 ページ: 63―66
一橋法学
巻: 11巻3号 ページ: 955-980