本研究の目的は、「子の福祉」という法的概念の現代的意義を明らかにすることである。具体的には、①「出自を知る権利」の法的意義、②法的親子関係の確保の必要性、③親権の法的性格(義務か権利か)、④親権に服する子の法的主体性への配慮の必要性、という4つ論点に即して検討した。結論は以下のとおりである。「子の福祉」という概念は、法的文脈に即して内容を分析する必要がある。子の利益は複数の方向性をもち、さらに、矛盾する場合もある。よって、子の福祉を法的概念として用いる場合には、まずその内容が明確にされなければならない。
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