研究課題/領域番号 |
24530096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
高田 賢治 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40326541)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 包括担保 / 事業再生 |
研究概要 |
本年度は、包括担保化時代における担保権と事業再生との調和に関する手続的研究をするために、まず、2012年4月に、ロンドンに行って、イギリス倒産法のカンファレンスに出席した。そこでは、イギリスの新たな倒産法制の動きに関する報告や国際的な動向についての報告がされて、有益であった。 また、ABL法制研究会に出席して、わが国および諸外国の包括担保の法制度について知見を得る機会があった。自らもイギリスにおけるABLについて報告して、イギリスの包括担保法制について、有意義な議論をすることができた。 わが国における事業再生と担保権との調和という観点から、民事再生における担保権消滅請求制度について手続的研究を行って、論文を執筆した。この論文は、倒産法改正研究会編『続提言倒産法改正』に所収された。さらに、2013年3月には、「倒産法制の再構築に向けて」という大阪弁護士会主催のシンポジウムにおいて、担保権消滅制度について、パネリストとして報告をした。そこでは、対立型スキームと協調型スキームという2つの観点から担保権消滅制度を位置づける報告をした。この報告に対して、他の研究者や実務家から有益なコメントを得ることができた。 さらに、民事再生においてDIP型から管理型に移行する場合の諸問題についても研究した。そして、この成果の一部として、条解民事再生法(第3版)における管理命令に関する部分を執筆した。信託と倒産についての問題についても研究した。この成果の一部として、レクチャー倒産法という教科書に取戻権の部分を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イギリスの包括担保と事業再生については、ロンドンでのカンファレンス出席と、ABL法制研究会への出席が実現したことによって、順調にイギリス法研究を進めることができた。 わが国における包括担保と事業再生についての手続的研究に関しては、民事再生における担保権消滅制度の手続的研究をして、論文を公表し、シンポジウムで報告することができたため、順調に進んだといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題としては、わが国の担保権消滅制度について、手続的観点からの研究を、民事再生のみならず、破産、会社更生を含めた倒産手続横断的に研究することである。倒産手続の特徴が異なると、担保権消滅制度の位置づけも異なるということを前提として、手続的特徴の比較とその趣旨の探究をする。 また、ABL法制研究会に引き続き出席して、イギリスを中心とする集合動産譲渡担保、集合債権譲渡担保に相当する包括担保法制についてさらに調査を進めて、論文を執筆する。 また、清算価値保証原則についても研究を進めておく。
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次年度の研究費の使用計画 |
イギリスにおけるABLその他の包括担保に関する研究を進めるために、イギリスにおいて文献調査、資料収集をするために、イギリス(ロンドン)での研究遂行を予定している。また、わが国における担保権消滅請求制度の手続的研究について、わが国の他の研究者と議論するために、各地の大学に行く。近時出版された倒産法・担保法関係書籍を購入する。研究遂行に必要なPCその他消耗品等を購入する。
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