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2013 年度 実施状況報告書

格付会社への法的規制に関する比較法的考察

研究課題

研究課題/領域番号 24530097
研究機関成城大学

研究代表者

山田 剛志  成城大学, 法学部, 教授 (30282966)

キーワード格付会社 / 民事責任 / IOSCO / 金融商品取引法
研究概要

2007年夏以降に顕在化したサブプライムローンの証券化商品に端を発する世界的な金融危機に関連して、投資銀行や機関投資家がサブプライムローンの証券化に際して、格付会社の格付を無条件に信頼したことが、その後の世界的危機を引き起こした一つの要因というのが定説となっている。その際格付会社による不適切な格付及び証券化商品の原資産の開示が不十分だったことが、その原因とされている。
その後世界各国で格付会社を規制するため検討がなされ、同時に証券監督者国際機構(以下IOSCOとする)は、格付会社の自主ルールに盛り込むべき「信用格付機関の基本行動規範(Code of Conduct Fundamental for Credit Rating Agencies)」(以下基本行動規範という)を2008年に改訂した。一方アメリカでは、2006年信用格付機関改革法が成立し、2007年より格付会社の登録制を開始し、その後SEC規則を改定して格付会社に対する規制強化を図っている。また2010年7月に成立した金融規制改革法(以下ドッド=フランク法という)では、931条以下で規制が大幅に強化された。他方欧州では、欧州委員会が2009年4月に「格付会社に関する欧州議会および理事会規則」を制定し、規制強化が図られた。また更なる規制が議会で検討されている。
他方わが国における格付会社への規制としては、平成21年6月24日に交付された「金融商品取引法等の一部を改正する法律」及び改正法にかかる政令・内閣府令が挙げられるが、平成21年12月28日に公布されている。本研究では、上記金商法改正及び金融商品取引業等に関する内閣府令(以下業府令という)を中心に現行法を検討し、その際具体的にわが国の格付会社にかかる規制を考察したい。
その上で、格付会社に対する不信は払拭されるか、さらなる問題点は何かを欧州規制及びアメリカの法制・判例を参照しながら、検討していきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アメリカ法に関し、資料等が順調に集まっているため。具体的に以下の点を明らかにした。2007年夏以降顕在化したサブプライムローン問題をめぐり、前述の通り格付会社に対し大きな批判がなされたが、特にSECによる調査で明らかとなったのが、2002年以降格付会社は信用格付の付与を行うようになったが、格付プロセスを文書化している格付会社は皆無であったことや公表されていなかったこと、また利益相反の管理が不適切だったことが明らかとなった。その後SECは2009年2月SEC規則を改正した。その中で特に重要な改正は、日本の格付会社2社等に対し、SEC規則17g-5(a)(3)が域外適用されるかである。SEC規則17g-5(a)(3)はストラクチャード商品の格付のため入手する情報を他のNRSROにもアクセス可能とする措置である。この規定は当初2010年12月まで適用が延期される予定であったが、金融庁はその影響は大きいため、適用免除の恒久化を求める意見を提出した。
②ドッド=フランク法における信用格付制度の改正
周知の通り、2010年7月オバマ大統領は、ドッド=フランク法に署名をして同法は成立した。その中で格付会社への規制の強化が図られた。特に基本的なスタンスとしては、金融取引におけるゲートキーパーとして、信用格付機関の業務は基本的に商業であり、監査人、証券アナリスト及び投資銀行に適用されるのと同様の監督及び賠償責任を負担すべきである、とする。格付会社への規制をみると、大幅に規制が強化され、格付が誤っていた場合、行政罰を与えたり、民事責任を問う仕組みを検討するなどこれまでの規制と趣旨が大きく異なっているように見えるため、以下ドッド=フランク法の基本的な方針を検討する。

今後の研究の推進方策

他方わが国における格付会社への規制としては、平成21年6月24日に交付された「金融商品取引法等の一部を改正する法律」及び改正法にかかる政令・内閣府令が挙げられるが、平成21年12月28日に公布されている。本研究では、上記金商法改正及び金融商品取引業等に関する内閣府令(以下業府令という)を中心に現行法を検討し、その際具体的にわが国の格付会社にかかる規制を考察したい。
その上で、格付会社に対する不信は払拭されるか、さらなる問題点は何かを欧州規制及びアメリカの法制・判例を参照しながら、検討していきたい。

次年度の研究費の使用計画

本年度は主にアメリカの資料を収集したため。
特にアメリカの立法資料を集めたので、物品費が嵩んだものである。
欧州の格付機関の資料をさらに集める予定である。今後は、欧州議会や各国の立法資料・判例などを集める予定である。
そのためには、各国の立法資料・判例に特化したデータベースなどを使用し、同時にプリントされた立法資料を集める必要があるので、さらに物品費が必要となる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 債権法改正と銀行実務:中間試案に基づく検討(第3回)預金業務と相殺2014

    • 著者名/発表者名
      山田剛志
    • 雑誌名

      ビジネス法務

      巻: 14(1) ページ: 149-153

  • [図書] 「金融商品取引法研究会記録」2014

    • 著者名/発表者名
      山田剛志
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      日本証券経済研究所

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公開日: 2015-05-28  

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