本研究の成果として、格付会社の民事責任については、格付が依頼格付か勝手格付かで、その法的責任に関し差異が生じる。結論として、勝手格付において、格付会社は一般投資家ひいては国民全体に、直接の法的責任を負うには、前提となる義務の存否の根拠は弱いと思われる。他方依頼格付の場合には、格付を与える格付会社内の手続き自体は同じとしても、当該格付が明らかに事実と異なる場合には損害が発生する。前提となる事実を見落としたなど格付の前提となる事実に重大な過誤があった場合などは、当該過失と損害の間には因果関係あると理解しうるだろう。その場合には、格付について、格付会社に民事責任が生じることとなる。
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