研究実績の概要 |
2014年度科研費助成事業による研究成果は、以下のものである。 本テーマに直接関連する成果として、(1)Das internationale Parallelverfahren in Japan, ZZP Int.Bd.18, S. 339 ff.がある。これは、国際的訴訟競合に関する日本の学説および判例を紹介し(近時は、国際的訴訟競合を我が国の国際裁判管轄を否定する「特段の事情」として位置付ける見解が学説・判例で有力である)、これに対する私見を述べたものである。また、(2)Internationale Annexzustaendigkeit in Japan, FS. Gottwald, S. 233 ff.がある。これは、関連請求を一つの裁判所で審理することができるならば、同一紛争に関する手続の分断が避けられるメリットがある管轄原因であったため、この点に関する我が国の判例・学説の状況を紹介するとともに、ヨーロッパ民事訴訟法の基本法源であるブリュッセル規則においてこのような管轄原因を有しない点を批判的に検討したものである。(3)「訴え却下判決の国際的効力」『民事責任の法理(円谷先生古稀)』(成文堂、2015年5月刊行予定)では、国際裁判管轄を有しないことを理由に外国裁判所で下された訴え却下判決の承認をめぐる問題を検討した。 また、本テーマを研究する過程において直接的ではないが関連する成果として、(4)「執行判決訴訟の法的性質について」石川明=三木浩一編『民事手続法の現代的機能』(信山社、2014年)333頁がある。これは、(3)論文執筆との関係で生じた疑問、すなわち、執行力の国際的効力について、執行国が付与するとの支配的見解に疑問を持ち、判決国の効力が拡張されるとの見解を支持したものである。
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