研究課題/領域番号 |
24530106
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
吉垣 実 愛知大学, 法学部, 教授 (60340585)
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キーワード | 予備的差止命令 / 仮制止命令 / 回復不能の被害 / 本案勝訴可能性 / 比較衡量 / 公益 / 連邦最高裁判所 / 連邦控訴裁判所 |
研究概要 |
研究課題を達成するための前提研究として、一昨年から、アメリカ連邦裁判所における予備的差止命令の機能と展開について研究している。今年度は、予備的差止命令の法的性質及び発令要件の具体的検討のうち、本案勝訴可能性、比較衡量、公益、その他の考慮要因を個別にみた上で、それら各要件の相互関係と審査基準を明らかにした(予備的差止命令の差止要件である、回復不能の被害、本案勝訴可能性、比較衡量、公益、そして他の考慮要因が相互にどのような関係をもち、またどのように評価されるのかについては、最高裁判所の解釈も必ずしもはっきりせず、各連邦控訴裁判所の間でも解釈は分かれている。それらの理解を助けるいくつかの観点と、各巡回区の解釈について検討した。立証目標の数に着目すると、4部構成テスト、3部構成テスト、2部構成テスト、そして5部構成テストに区別することができる。複数の基準を併用する裁判所もある。各要件の証明の影響環境、各要因の評価と比重、各連邦裁判所が採用する基準について、愛知大学法経論集195号、196号、197号(197号に関係する、第7連邦控訴裁判所のPosner判事の見解を、民事訴訟雑誌60巻において紹介した。)において詳しく論じた。 上記の他、研究課題に関連するテーマを設定し、関西民事訴訟法研究会で報告を行った(研究会では、アメリカの中間的差止命令手続の全体を詳しく説明し、わが国の仮の地位を定める仮処分手続への示唆を検討した。ここでの議論を研究課題に生かしたいと考えている)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題についてはおおむね順調に進展している。研究課題を達成するための前提研究として、仮制止命令の検討、デラウエア衡平法裁判所における議論の検討が残っているが、この点については、2014年4月に、関西民事訴訟法研究会で報告・議論した。 ただ、研究課題についての検討をすすめているうちに、「アメリカの仮処分手続」についての研究が不可欠である事が明らかになった。この点、早速論文を準備し、公表一歩手までのところまできているが、この論文の発表と、課題研究の論文の発表とをどう両立させるかという新たな問題が浮上したことも事実である。この両者は解きがたく結びついており、計画的に準備して成果を発表したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度までの研究成果をふまえ、研究課題に取り組みたいと考えている。アメリカやイギリスにおける現地調査を生かし、より良い成果を生み出せるように努力したい。 上記でも述べたが、研究課題についての検討をすすめているうちに、「アメリカの仮処分手続」についての研究が不可欠である事が明らかになった。この点、早速論文を書き、公表一歩手までのところまできているが、この論文の発表と、課題研究の論文の発表の両立を図りながら、成果を発表したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた出張(アメリカおよびイギリスへの出張)を延期したことによる。延期した理由は、前提研究をより充実させたうえで、当地でヒアリングを行うことがより有益な結果を得られると判断したからである。 平成26年度の使用目的であるが、アメリカやイギリスへの出張費・ヒアリングの費用や世界訴訟法学会への参加費・出張費、図書等購入費、PC環境の整備費用に充てる予定である。
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