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2014 年度 実績報告書

商事仮処分の紛争解決機能-わが国の取引社会の要請に対応しうる紛争解決制度の構築-

研究課題

研究課題/領域番号 24530106
研究機関愛知大学

研究代表者

吉垣 実  愛知大学, 法学部, 教授 (60340585)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードインジャンクション / 予備的差止命令 / 仮制止命令 / エクィティ / 仮の地位を定める仮処分 / 本案勝訴可能性 / 比較衡量
研究実績の概要

取引社会・市民社会のニーズに対応しうる仮処分命令の審理方法を解釈論によって提示することが本研究の目標であった。現行の仮処分命令手続によっては解決できないケースや、審理のなされ方によっては十分な救済が図られないようなケースが存在しているところ、これをアメリカの差止命令(インジャンクション)、とくに予備的差止命令発令のための4要件の審理を柔軟におこなう連邦裁判所の判断を参考にしながら、柔軟かつ適正・迅速に解決するための解釈論を検討した。
紛争解決として重要なことは、事件が迅速かつ適正に処理されることであり、民事保全制度はこれに応えるためのものである。しかし、わが国の現行手続のもとでは、救済範囲が限定されるという問題が生じている。民事保全において手続保障の重要性が説かれることは多いが、民事保全法の運用による救済範囲の限定を指摘するものは少なく、それをアメリカ法のアプローチによって解決しようとの試みはこれまで見当たらなかった。
そこで、本研究において、アメリカのインジャンクション手続(インジャンクションは、①永久的差止命令、②予備的差止命令、③仮制止命令の3つからなるが、本研究との関係において重要なのは、②および③である)を参考にしながら、救済範囲を拡張するための解釈論を検討した。インジャンクションは紛争解決のための柔軟な制度であることのみならず、わが国の会社法や平成17年改正前商法における差止制度としてすでに導入されており、比較法検討に際してのアレルギーは少ないといえる。
研究成果として、本案訴訟において判断されるべきとされてきた事件類型のかなりの部分について保全命令の発令を可能ならしめるための解釈論を提示するための予備研究は終了した。今後、保全命令による救済範囲を解釈論によって拡張し、迅速な紛争解決制度の構築を図るための研究を続けたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] アメリカ連邦裁判所における予備的差止命令と仮制止命令の発令手続(2)―わが国の仮処分命令手続への示唆―2015

    • 著者名/発表者名
      吉垣実
    • 雑誌名

      愛知大学法学部法経論集

      巻: 202号 ページ: 39-54

  • [雑誌論文] 〈海外学界事情〉国際訴訟法学会2014年ソウル大会について2015

    • 著者名/発表者名
      吉垣実
    • 雑誌名

      民訴雑誌

      巻: 61号 ページ: 210-216

  • [雑誌論文] 会社解散判決に対する第三者の独立当事者参加による再審の訴えと請求の提出2015

    • 著者名/発表者名
      吉垣実
    • 雑誌名

      ジュリスト臨時増刊号

      巻: 1479号 ページ: 135-136

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 条文の組み合わせから考える民事訴訟法285条・96条・97条2014

    • 著者名/発表者名
      吉垣実
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 410号 ページ: 24-26

  • [雑誌論文] アメリカ連邦裁判所における予備的差止命令と仮制止命令の発令手続(1)―わが国の仮処分命令手続への示唆―2014

    • 著者名/発表者名
      吉垣実
    • 雑誌名

      愛知大学法学部法経論集

      巻: 201号 ページ: 29-66

  • [学会発表] 債権者と債務者の利益衝突―日本法の立場から―2014

    • 著者名/発表者名
      吉垣実
    • 学会等名
      IAPL(国際訴訟法会議・学会)ソウル大会
    • 発表場所
      大韓民国ソウル市ヨンセ大学法科大学院会議ホール
    • 年月日
      2014-10-03 – 2014-10-03
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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