研究課題/領域番号 |
24530107
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
馬場 圭太 関西大学, 法学部, 教授 (20287931)
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キーワード | 損害軽減義務 / 共通欧州売買法 / 消費者権利指令 / 債権法改正 |
研究概要 |
本年度は、①損害軽減義務に関する研究、②債権法改正の動向に関する比較法研究を中心に研究を進めた。 ①損害軽減義務は、債権法の展開において近時その認否が問題となっている重要な概念の一つである。損害軽減義務に関連して、携帯電話の課金に関して携帯事業者の損害軽減義務が争われた裁判例(京都地判H24.1.25)の評釈を公表した(判例時報2187号161-165頁)。また、9月中旬にパリ第2大学および13大学で開催された日仏合同シンポジウムにおいて、日本側報告者の一人として損害軽減義務について報告する機会を得た(http://www.henricapitant.org/node/104497)。フランス側報告も含めたシンポジウム報告の概要をまとめ、公表した(法律時報86巻5号70-73頁)。より詳細な報告内容(仏文)については、フランスの出版社から刊行される予定である(入稿済)。 ②昨年度に引き続き、ヨーロッパにおける契約法・消費者法の統一への動きをフォローし、研究を進めている。6月にイタリア・フィレンツェへ出張し、ヨーロッパ消費者法の動向について、ハンス・ミクリッツ教授(欧州連合大学院)に、イタリア消費者法の動向について、ジョヴァンニ・フルジェーレ教授(フィレンツェ大学法学部)にインタビューを行った。 また、本務校の予算で、9月にユルゲン・バーゼドー教授(ドイツ・マックス=プランク外国法国際私法研究所所長)を、7月に徐熙錫副教授(韓国・釜山大学法学専門大学院)招聘することができた。バーゼドー教授には、共通欧州売買法に関する最新動向を、徐副教授には、日本と同様に債権法改正作業が進んでいる韓国の状況について議論する機会を得た。ヨーロッパ契約法・消費者法の動向をテーマとする入稿済みの論稿があるが、現時点では公表されていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外調査に関して、研究初年度は調査対象国が限定されたが、本年度は、人的ネットワークを生かすことにより、当初の研究計画に沿った形でドイツおよびイタリアの調査を進めることができた。当初の計画では専門家の招聘を予定していたが、別予算で研究者を招聘することができたため、その分の予算をフランスでのシンポジウム報告のために割り振ることが可能となった。これにより、当初の予定よりも研究活動を拡大することができた。その他諸国の調査については、平成26年度の実施を予定している。次の項目で述べるように十分達成可能であると考えている。 その他の点についても、おおむね順調に研究を遂行することができている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通りに研究を遂行する予定である。 最終年度は、10月から本務校の在外研究制度により、フランス(パリ第1大学)に長期滞在する機会が与えられた。フランス滞在中に欧州諸国(オーストリア、クロアチア、ギリシャを予定)の調査を行うことで、時間および費用の点から効率的に研究計画を遂行することが可能となる。さらに余裕がでれば、調査対象国を研究計画よりも拡げたいと考えている。また、在外研究期間中に、本研究のエフォートを高く設定することが可能となるため、年度後半に研究活動を集中させる予定である。研究成果の公表等も海外から積極的に行いたい。
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