研究課題/領域番号 |
24530107
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
馬場 圭太 関西大学, 法学部, 教授 (20287931)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 広告規制 / ヨーロッパ消費者法 / ヨーロッパ共通売買法 / 消費者権利指令 / 債権法改正 / 民法典改正 |
研究実績の概要 |
本年度は、 ①広告勧誘規制、②ヨーロッパ消費者法、③フランス債務法改正の3つのテーマを軸に研究を展開した。本務校の在外研究制度により年度後半からフランスに滞在する機会が与えられ、本課題の研究を進める絶好の条件が整った。これを活用して、ヨーロッパ各地で開催される研究会・ シンポジウム・インタビューなどに積極的に参加して情報収集に努めるとともに、図書館等で資料収集および執筆活動に従事した。具体的には、 ①については、(a)消費者権利指令の各加盟国における国内法化の状況および(b)広告規制実務を中心に調査研究を行った。とくに、保険契約における契約締結過程の研究に重点を置いている。フランスで2014年3月に成立したHamon法の内容とその実務への影響が当面の研究課題となっている。 ②については、(a)12月にドイツ・バイロイト大学消費者法研究所(シュミット-ケッセル教授が主宰)で行われたデジタル・コンテンツ規制に関する研究会に参加し、議論・意見交換を行った。また、(b)3月には、イングランド・ハル大学のトウィグ-フレスナー教授のもとを訪問し、ヨーロッパおよびイギリスの消費者法の最新動向についてインタビューを行った。近時のイギリスにおける消費者保護立法および体制が興味深い展開を見せていることを特記しておく。 ③については、2015年2月に債務法改正案の授権法律が可決したこともあり、活発な議論が展開されおり、様々な利害関係団体が協賛したシンポジウムが頻繁に開催されている。これらにも可能な限り出席し、研究者や実務家と意見交換することで状況把握に努めている。また、法改正の最新動向だけでなく、その背景にある文脈を理解するために、フランス民法典制定以降に試みられた民法典の抜本改正に関する立法史研究にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度前半は、時間をとることが難しく研究活動が若干停滞していたが、年度後半以降はヨーロッパに拠点を移して、(1)フランス内外で行われている各種シンポジウム・講演会への参加、関係者へのインタビュー・意見照会の実施、その副次的効果としての人的ネットワークの維持・拡大を着実に実現しており、さらに、(2)各種研究施設を自由に利用できる恵まれた環境のもと、効率的な文献収集を行い、調査分析に集中することができている。これにより、前半の停滞をカバーできたと考える。 以上の理由により、現在までの達成度を(2)に該当するものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本来は、H26年度をもって研究期間が終了する予定であったが、在外研究の機会が与えられたことで、(1)本課題研究を推進する環境が整ったこと、また、(2)研究費から日本=ヨーロッパ間の出張旅費を支出する必要性がなくなり金額に余剰が生じたことから、研究期間の延長を申請し、承認していただいた。 H27年度前半は、日本語文献へのアクセスが困難であることから、引き続きヨーロッパ現地での調査研究活動に軸足を置き、帰国後に、成果の総合的な取りまとめ作業に移行する。 なお、調査対象機関とのスケジュール調整の都合により、インタビューおよび資料収集を目的とした海外出張をH28年3月に予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度後半から1年間在外研究の機会が与えられたことで、研究費から日本=ヨーロッパ間の出張旅費を支出する必要性がなくなり、研究費に余裕が生じたため。 なお、本来は、H26年度をもって研究期間を終了する予定であったが、本務校から在外研究の機会が与えられ、これにより本課題研究を推進するための絶好の環境が整ったことから、研究期間の延長申請を行い、承認していただいた。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度直接経費(592,245円)のうち、69,245円を図書費、475,000円を海外出張費(欧州7日間。H28年3月に実施)、48,000円を国内出張費(東京出張1泊2日)に割り当てる予定である。
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