研究課題
基盤研究(C)
本年度は、研究の初年度であり、イギリスおよび日本を中心とした従属会社の少数株主保護のための退出制度、開示制度および監査制度等の規制に関して、イギリスおよび日本の会社法の文献資料の入手を行い、イギリスおよび日本の会社法の比較、検討を行った。とりわけ、本年度においては、支配株主による不公正な侵害行為からの少数株主保護に関して、退出規制について、研究代表者が所属する関西商事法研究会において、研究報告を行い、多くの教えを授かった。これを受け、論文として公表できるように、さらに上記のテーマについて検討を加えている。すなわち、支配株主が会社に対し影響力を行使し、会社に損害が生ずる場合が一度きりである場合には、少数株主の保護については、支配株主は会社に対して損害賠償責任を課されるという規制が主な規制として考えられるところ、支配株主が会社に対して影響力を行使し、会社に損害が生ずる場合が繰り返される場合においては、少数株主は支配会社に対して損害賠償の責任を繰り返し追及することのほかに、とりわけ少数株主が株式を容易に売却できないときを考慮して、少数株主が会社を退出するという規制は必要であり、これについて、イギリス会社法を参考にして、日本法への示唆を得る。このような問題意識に基づき、イギリス会社法の規制について考察を進めている。このように、本年度の研究活動に関しては、上記のような具体的な考察の内容が明らかになった点に意義および重要性が認められる。
3: やや遅れている
本年度においては、イギリスにおける不公正な侵害行為からの少数株主保護について研究報告を研究会において行ったことにより一定の成果を得ており、研究活動は、当初の平成24年度の研究実施計画のとおりにおおむね進んでいる。しかし、その研究成果を平成25年度において論文として公表するためには、さらに文献資料を入手し、精読する必要があることから、研究成果の公表にはさらに時間を要する。したがって、研究活動は、研究実施計画からやや遅れていると言える。
今後の研究の推進方策は、結合企業法制における従属会社の少数株主保護に関して、イギリス法および日本法について文献資料の入手および精読、さらにイギリス法および日本法の比較および検討等を行い、そのうえでイギリス法からの日本法への示唆を提示し、これを論文として公表するというものである。論文としてまとめる過程においては、研究会において研究報告をすることにより多くの知見を得る、研究会もしくは学会等に出席して他の先生方の研究報告を聞くことにより知見を得る、または、私の指導教授、その他の先生方から意見を得る等を行い、その知見または意見を論文に反映させることも今後の研究の推進方策として行う。
次年度の研究費の使用計画は、おもに次のとおりである。第一に、結合企業法制における従属会社の少数株主保護に関して、イギリス法および日本法に関する文献資料を入手するために研究費を使用する。第二に、研究会または学会への出席等のための国内旅費のために研究費を使用する。
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金融・商事判例
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