研究課題/領域番号 |
24530110
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉田 広志 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70360881)
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キーワード | 知的財産高等裁判所大合議判決 / クレイム解釈 |
研究概要 |
論文を4本、投稿・発表した。昨年発表した、プロダクト・バイ・プロセス・クレイム大合議判決に関する研究をフォローする判例評釈を発表した(『特許管理』誌)。このテーマは、本研究の骨格をなすため、論文化したもの以外にも研究を進めている。 また本年は、これも別の角度から本研究の骨格の一部をなす、クレイム解釈に関する論説を発表した(『知財研フォーラム』誌)。わが国におけるクレイム解釈は、主に審査過程で行われる「発明の要旨認定」と、権利解釈過程で行われる「特許発明の技術的範囲」とがあるが、この両者の関係について、近年ではシングルスタンダード(統一的解釈)論が勢いを増し、かつての最高裁判決との関係が取りざたされている。この点について、これまでの学説には見られない新たな切り口から試論を提示した。 この他、先使用権をテーマとした判例評釈を発表した(『新・判例解説Watch』誌)。裁判例で先使用権が主張されることは珍しいために論説は少ないが、過去の研究蓄積を生かした評釈である。同じく、職務発明に関する判例評釈を発表した(『新・判例解説Watch』誌)。職務発明の対価の算定ベースとなる「受けるべき利益」に絞って解説した。 論説としてまとまるには至っていないが、審査過程における実験成績証明書の提出の可否に関する論文を執筆中である。非常に実務的な論点であるが、これまで研究者による調査がほとんど行われていないテーマであり、平成26年度中には発表できる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究成果をフォローすることができた。また、本研究の根底となるクレイム解釈論について新たな見解を示すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年は、本研究の題材となる知的財産高等裁判所大合議判決が2件判決される見込みであり、本研究もすぐにフォローする。研究対象が増えたため、方針や注力するポイントを見直す。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に使用する予定だった旅費(出張)が中止となってしまったため。金額が中途半端なので次年度に使用した方が効率的であると判断した。 出張、ないし物品費として使用する予定。
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