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2012 年度 実施状況報告書

知的財産法における物権法的構成の意義とその限界

研究課題

研究課題/領域番号 24530114
研究種目

基盤研究(C)

研究機関神戸大学

研究代表者

島並 良  神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20282535)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード知的財産法 / 特許権 / 著作権
研究概要

本研究は、本来は物権法のテクニックを借用して構築されてきた知的財産法が、さまざまな点で不法行為法的な規範へと変容を見せている現状を分析し、知的財産法制の望ましい姿を探求するものである。本研究の目的は、一見すると何ら関係がないようにも見える喫緊の諸課題、すなわち特許権の均等論、著作権の侵害主体論、特許権の差止請求制限論、著作権のフェアユース規定導入論などを、物権法的性質の意義と限界という一貫した視点から横断的・包括的に検討対象とし、それら諸課題の整合的解決策を提言することにある。
この目的を実現するために、研究初年度となる平成24年度は、次年度以降の具体的な応用研究に向けた前提作業として、物権法的構成(property rules)と不法行為法的構成(liability rules)の相違を中心とした基礎研究に従事した。その結果、次のとおりの成果を得ることができた。
第1に、一般不法行為法(民法709条)と知的財産法の相互関係について検討を加え、知的財産権侵害が成立しない場合の一般不法行為による補充的保護の成立条件を明らかにした(法学教室380号147頁以下)。第2に、権利の共有における知的財産法上の特則を、集合的意思決定のあり方という視点から公共選択論に基づいて分析した(法学教室384号116頁以下)。第3に、著作権と特許権の各侵害主体を、侵害の対象となる知的財産の範囲決定主体という視点から画定することを提唱した(法学教室388号139頁以下)。第4に、差止めによる物権法的な救済と損害賠償による不法行為法的な救済とを比較してその意義と射程を検討した(法学教室390号122頁以下)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

設定したテーマに関する基礎研究を実施するという実施計画に沿った具体的成果として、複数の萌芽的研究論文を公表することができたため。

今後の研究の推進方策

上述した既発表の萌芽敵研究論文について、それぞれ分析をより深めていくとともに、それらを一貫した視点から統合した総論的研究に着手する。

次年度の研究費の使用計画

テーマに関連する国内外の文献(和書、洋書)を収集・購入する。また、研究成果のさらなる公表に向けて、ウェブサイトを構築するほか、研究論文の英語執筆・英語翻訳についても進めていく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 直接侵害者の画定2013

    • 著者名/発表者名
      島並良
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 388 ページ: 139-145

  • [雑誌論文] 差止めと損害賠償2013

    • 著者名/発表者名
      島並良
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 390 ページ: 122-127

  • [雑誌論文] 一般不法行為法と知的財産法2012

    • 著者名/発表者名
      島並良
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 380 ページ: 147-154

  • [雑誌論文] 権利の共有2012

    • 著者名/発表者名
      島並良
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 384 ページ: 116-121

  • [図書] The Future of the Patent System2012

    • 著者名/発表者名
      Ryo Shimanami (Ed.)
    • 総ページ数
      379
    • 出版者
      Edward Elgar Publishing, Inc

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公開日: 2014-07-24  

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