研究課題/領域番号 |
24530114
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
島並 良 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20282535)
|
キーワード | 知的財産法 / 特許権 / 著作権 |
研究概要 |
本研究は、本来は物権法のテクニックを借用して構築されてきた知的財産法が、さまざまな点で不法行為法的な規範へと変容を見せている現状を分析し、知的財産法制の望ましい姿を探求するものである。本研究の目的は、一見すると何ら関係の無いようにも見える喫緊の諸課題、すなわち特許権の均等論、著作権の侵害主体論、特許権の差止請求制限論、著作権のフェアユース規定導入論などを、物件法的性質の意義と限界という一貫した視点から横断的・包括的に検討対象とし、それら諸課題の整合的解決策を提言することにある。 この目的を実現するために、研究2年度目となる平成25年度は、知的財産権と公益との調整局面について検討を加えた。その結果、次のとおりの成果を得ることができた。 第1に、知的財産権と所有権の比較を踏まえて特許権と著作権の経済分析を行った(『エコノリーガル・スタディーズのすすめ』第1章)。また、第2に、著作権が消費者保護等の観点から制約を受ける結果、その物権的な性格を受けること、およびその法的根拠を明らかにした(コピライト、根岸古稀記念論集への各掲載論文および学会発表)。さらに、第3に、職務発明に関する相当対価請求権の分析を通じて、従業発明者の(特許を受ける)権利の物権的性格の限界を明らかにした(知財管理掲載評釈)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定したテーマに関する研究を実施するという実施計画に沿った具体的成果として、複数の各論的研究論文を公表することが出来たため。
|
今後の研究の推進方策 |
上述した既発表の各論的研究論文についてそれぞれ分析をより深めていくとともに、それらを一貫した視点から統合した総論的研究についても論文を発表する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したが、当初予定していた総論的な研究のみを各論的な研究の目処がつく次年度まで停止したため。 全体の研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく予定である。
|