研究課題/領域番号 |
24530124
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横田 正顕 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30328992)
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研究分担者 |
出岡 直也 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (50151486)
高橋 利安 広島修道大学, 法学部, 教授 (50226859)
岸川 毅 上智大学, 外国語学部, 教授 (60286755)
藤嶋 亮 神奈川大学, 法学部, 非常勤講師 (70554583)
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キーワード | 政治変動 / 憲法体制 / 南欧 / ラテンアメリカ / バルカン半島 / クライエンテリズム / ポピュリズム |
研究概要 |
平成25年度においては、メンバー全員で取り組んだ前年度の日本比較政治学会研究大会分科会におけるそれぞれのディスカッション・ペーパを書き直し、公刊する作業が進められた。とりわけバルカン半島とイタリアについてはこの作業が先行的に進み、当該地域における前世紀転換期における自由主義議会制の困難と、政治変動の比較政治史的な特徴づけが明確な形で打ち出されたことは画期的であった。 これに対して平成24年度に学会報告がなかったスペイン・ポルトガルの事例については、研究代表者自身によって、日本比較政治学会、日本政治学会の2013年度研究大会での研究報告が行われた(2013年6月23日、9月16日)。ここでは、ユーロ危機という政治経済環境の大きな変化の中で、憲法体制の運用がどのような挑戦を受けているかという現代的関心からのアプローチが図られており、前世紀転換期における政治変動の経験との内在的関連性は、むしろ今後の課題として残されている。 海外調査としては、2013年8月31日-9月13日、イタリア・フィレンツェ大学社会科学系図書館および法学研究所における資料収集、およびCarlo Fusaro(フィレンツェ大学政治学部教授)、Maurizio Fioravanti(フィレンツェ大学法学部教授)からの聞き取り調査が、他研究費との併用により行われた。 なお、平成25年度は、研究代表者自身が代表を務める京都大学地域研究統合情報センター(CIAS)共同研究の個別研究ユニット「ユーロ危機下における南欧諸国のガヴァナンス変容―東欧諸国との地域間比較の視点から」、並びに科研共同研究「ユーロ圏危機下における南欧政治の構造変容に関する比較研究」(研究課題番号:25285043)の発足とともに、本共同研究はこれらとも連携しつつ、他地域の専門家との交流を交えての活発な研究会を通じて研究内容を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度も分担者・岸川の体調不全による当初計画の変更はあったものの、他のメンバーによる各学会での旺盛な研究報告や、論文・著書の公刊による研究業績の公表によって、限られた条件の中にあっても業績を出し続けるという姿勢は維持された。 しかしその一方で、メンバー全員が一堂に会して互いの研究報告を聞いたり、業績を評価しあったりするまとまった機会が取れなかったことも否定できない事実である。この点で、研究の中間的な総括は十分に行われたとは言い難かった。 以上の事から、反省すべき点はあるものの、研究計画全体としては「おおむね順調に進展」と判断されるところである。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては、分担者・藤嶋を除いて分担金をほぼ使い切った状態であり、新たな資料収集・調査の必要はほとんどないと考えられる。従って、最終成果の発表に向けて、メンバー各自が原稿を作成し、公刊するという作業が中心となる。 平成25年度においては全体会合を催す機会が設けられず、代表者が学会や出張などの機会をとらえて各メンバーと接触を図るか、メール会議でしか研究の統括を行うことができなかったので、早めの日程調整により全体会合を行い、本共同研究に関する総括的な話し合いの機会を持ちたいと考えている。 予算は主としてこの出張のための旅費や、論文公刊作業に必要となる印刷・コピー(およびこれに付随する消耗品)のために充てられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
一部メンバーの体調不良と日程調整の困難により、資料収集作業に一部遅れが生じたことに加え、予定されていた研究会合を持つことができず、そのための旅費が余ったことが最大の原因であると考えられる。 最終年度においては、上記の点を踏まえて、資料収集の続行と、全体会合及び研究会の実施に次年度使用額の一部を充当する予定である。
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