研究課題/領域番号 |
24530124
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横田 正顕 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30328992)
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研究分担者 |
出岡 直也 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (50151486)
高橋 利安 広島修道大学, 法学部, 教授 (50226859)
岸川 毅 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (60286755)
藤嶋 亮 國學院大學, 法学部, 准教授 (70554583)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 政治変動 / 憲法体制 / 南欧 / ラテンアメリカ / クライエンテリズム / ポピュリズム / 寡頭的議会制 |
研究実績の概要 |
本研究の重要な目的は、19世紀以来の南欧・ラ米諸国において見られた「憲法体制」とその背後の「非公式制度」との緊張関係に着目しながら、当該地域でいち早く成立した議会制の存続能力と限界、さらには後続の非民主体制の多様性を体系的に説明することであった。この目的に照らしてみた時に、研究全体の総括という意味では南欧とラ米をまたぐ地域横断的比較の視座が弱かったことは否定できないが、各研究分担者の意欲的な取り組みによって、最終年度を飾る重要な研究成果が得ることができた。 最終年度においては、研究費の規模的制約から、合同研究や学会報告による成果発表の形を取ることは難しかった。そのため、もっぱら初年度、次年度に実施された研究の取りまとめに各研究分担者の努力が費やされたと言ってよい。その中での最大の成果は、初年度に行われた日本比較政治学会報告ペーパーに様々な角度から彫琢を施すことによって完成した藤嶋論文「南東欧諸国における寡頭的議会制からの移行―ルーマニアとブルガリアの比較から―」である。同論文では、南東欧寡頭的議会制における君主の役割を「調停者モデル」(ルーマニア)か「親政モデル」(ブルガリア)に区分したうえで、それらの末期的段階における政治勢力の配置の違い、端的には体制外からの挑戦者のイデオロギー的・組織的凝集力の差が、寡頭的議会制からの移行パターンの分岐および寡頭的議会制とポスト寡頭的議会制との連続/断絶を規定したと論じられている。 この発見から世紀転換期の政治変動に関するより一般的な命題を導くには、本研究の射程を超えた事例比較の継続的遂行が必要である。本研究の代表者・分担者である横田と藤嶋は、平田武代表の基盤B「中小国を中心とするヨーロッパ諸国と日本の政治発展の比較研究」を通じてさらに継続的にこの問題に取り組み、本研究課題とも重なる研究成果の公表に努める予定である。
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