研究実績の概要 |
当該年度においては、前年までに収集した言説データの質的分析、イギリス現地調査、インタビューによる実態調査と文献に書かれていることの背後にある事情の確認などの調査分析作業を主に執り行い、その上で学会発表と研究成果の発表のための出版への準備作業を行った。具体的には以下の3点の作業が特に重要である。1)2014年9月にイギリスのシェフィールドとロンドンにおいてUK-Japan 21st Century Groupやその他の日本とイギリスの知的交流に関わるチャリティ/学術団体および大学研究機関の関係者および政治家のアシスタントから日本とイギリス間での学術経験者および政治家の知的交流の実態に関するお話を伺い、イギリス国内での「二大政党制」と「ウエストミンスター・モデル」ということばの理解のされ方や両国の間での政治的アイディアの流通に関して経験的な知見の獲得に努めた。2)現地調査の結果と言説データの質的分析を突き合わせ、日本における「二大政党制」と「ウエストミンスター・モデル」ということばの意味の編成と再編成について具体的な理解に努めた。また、あわせて、「生活」、「再生産」、「ジェンダー」という用語についても同様の作業を行った。こうした作業をすることによって、それまでに作成した報告論文などで充分に検討されていなかった論点(例えば、非常に属人化されたアイディアの流通経路)を特定することができたと考えている。3)上記の1)と2)を行うにあたって、暫定的な分析結果をEAJS,ISAおよびPSAで研究発表を行った。加えて、研究成果の本格的な発表にむけて、学術論文の草稿の作成のみならず、90年代以降の政治改革過程を言説とアイディアに着目し、読み解く英文単著の出版計画を作成し、ニューヨークのPalgraveと出版契約を締結した。
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