研究課題/領域番号 |
24530132
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田村 哲樹 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30313985)
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キーワード | 熟議システム / 熟議民主主義 / 政治理論 |
研究概要 |
①論文「熟議民主主義は自由民主主義的か?――『熟議システム』概念の射程」『政治思想研究』第13号、2013年、135-161頁、が刊行された。 ②分担執筆「熟議による『和解』の可能性」松尾秀哉・臼井陽一郎編『紛争と和解の政治学』ナカニシヤ出版、2013年、51-66頁、が刊行された。 ③論文「個人化の時代にどのような民主主義なのか――ポピュリズム・『民主主義2・0』・熟議民主主義」『比較文明』第29号、2013年、21-42頁、が刊行された。 ④熟議民主主義と参加民主主義を、自由民主主義との関係(の再考)という文脈の下で検討した論文を執筆・脱稿した。この論文は、「熟議と参加――リベラル・デモクラシーを超えるのか」というタイトルで、『岩波講座政治哲学6 政治哲学と現代』岩波書店、2014年刊行予定、に掲載される。 ⑤熟議民主主義論の観点から「草の根民主主義」をどのように問い直すかという問題に取り組んだ英語論文を執筆・脱稿した。そこでは、熟議システム概念に依拠して、抗議運動と親密圏における民主主義を、熟議的な草の根民主主義の形態として位置付けることができることを明らかにした上で、これらの事例を見ることで、熟議システム概念を入れ子的なものとして再構成することができることを主張した。本論文は、Rethinking Grassroots Participation in Deliberative Democracyというタイトルで、2014年度中に、日本政治学会が新たに刊行するJapanese Political Science Review誌に掲載される予定である。 ⑥シカゴで開催されたアメリカ政治学会で熟議民主主義に関する複数のセッションに出席し、熟議システム概念の理論的・経験的問題について参加者と議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究の目的」として、1)「熟議システム」概念を用いることで自由民主主義を熟議民主主義の下位類型として把握しなおすことができることを示すこと、および、2)「私的領域」をも熟議システムの要素として考えるべきと主張することを挙げた。 これらの目的のうち、1)については、「研究実績の概要」で挙げた、①の論文において全面的に取り組んだほか、②の分担執筆、④の論文においても取り組まれている。特に、④の論文では、非西欧諸国・地域における、すなわち、非自由民主主義的な熟議システムの可能性についても、研究代表者のこれまでの研究以上に言及した。また、2)については、⑤の論文で全面的に取り組んだ。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は本研究課題遂行の最終年度にあたる。 そのため、第一に、研究実績の概要の④と⑤として挙げた業績の刊行に向けての作業に取り組む。 また、第二に、親密圏と熟議システムの関係について、これまでの研究のまとめとなる学会報告を、家族社会学会にて行う予定である。 最後に、刊行予定の英語論文(研究実績の概要⑤)をもとに、今後さらに英語での研究成果発信を行っていくための方策を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品の購入計画に変更が生じたため。 次年度の研究遂行に必要なぷっぴんの購入費に充てる。
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