本研究は、近年の熟議民主主義研究において注目されつつある「熟議システム」概念について、同概念がどの程度の理論的射程を有するものであるのかを、とりわけ自由民主主義との関係において、政治理論的なアプローチで検討するものであった。研究の結果、熟議システム概念は、自由民主主義を超える射程を有するものとして理解されるべきであること、「私的領域」と見なされてきた家族や親密圏も熟議システムとして把握できること、非自由民主主義的な政体についても熟議システムの一つのタイプとして理解することができることが、明らかとなった。
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