研究課題/領域番号 |
24530137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小田川 大典 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60284056)
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研究分担者 |
安武 真隆 関西大学, 政経学部, 教授 (00284472)
太田 義器 摂南大学, 外国語学部, 教授 (10277858)
犬塚 元 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30313224)
遠藤 泰弘 松山大学, 法学部, 准教授 (30374177)
石川 敬史 東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (40374178)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 政治学 / 思想史 / 代表制 / 二院制 / 連邦制 / 国民国家 / デモクラシー / 立憲主義 |
研究概要 |
平成24(2012)年度は、研究計画に記した三つの軸のうち、主に(b)「政治思想史における制度論――系譜学的考察」と(c)「古典的政治思想家における制度論」に取り組み、研究会の企画・運営、研究論文の執筆、メーリングリストによる研究情報の交換などを行なった。 具体的な成果としては、まず2012年10月27・28日に一橋大学で開催された社会思想史学会研究大会において、小田川大典が「政治哲学の現在 代表制の政治哲学」セッションを世話人として企画・運営し、石川敬史が「アメリカ政治思想の再検討」セッションにおいて「大西洋辺境の道徳哲学再考:田中秀夫『アメリカ啓蒙の群像』を読む」という研究報告を行なった(その成果の一部は2013年9月に刊行される『社会思想史研究』第37号に掲載される予定である)。 次に論文としては、小田川大典が「後期ロールズとジョン・ステュアート・ミル――共和主義的転回との関連において」を、石川敬史が「『ザ・フェデラリスト』と建国期アメリカの思想対立」を、遠藤泰弘が「フーゴー・プロイスとドイツ革命」を、『変革期の政治思想 政治思想研究12』(風行社、2012年)に寄稿した。また、犬塚元が「震災後の政治学的・政治理論的課題:「不確実・不均衡なリスク」のなかの意思決定・連帯・共存の技法」稲葉馨ほか編『今を生きる――東日本大震災から明日へ 復興と再生への提言――3法と経済』(東北大学出版会、2012年)、「クラレンドンのホッブズ『リヴァイアサン』批判:ステュアート王党派の「君主主義」政治思想とその系譜分類をめぐって」(一)(二・完)『法学』第76巻(2012-2013年)を刊行したほか、「共和制」「寡頭制」の項目を大澤真幸・吉見俊哉・鷲田清一編『現代社会学事典』(弘文堂、2012年)に寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、政治思想史研究と政治理論研究の対話を通じて新たな制度論のパースペクティヴを提示すべく、①グロティウス、モンテスキュー、ヒューム、バーク、アダムズ、ミル、ギールケといった古典的政治思想家の制度論の解読を行ないながら、代表制、政党制、二院制、連邦制、国際制度など、様々な制度をめぐる議論の歴史と現状について、②系譜学的な観点からの比較研究と、③理論的考察を行うことを目的としている。 平成24(2012)年度を振り返るならば、①については、前述の通り、小田川大典、犬塚元、石川敬史、遠藤泰弘はそれぞれ論文を発表している。また太田義器は2012年12月22日に立命館大学で開催された第21回政治哲学研究会で「プーフェンドルフの自然法論について」と題した研究報告を行なっており、安武真隆は遠藤泰弘『オットー・フォン・ギールケの政治思想――第二帝政期ドイツ政治思想史研究序説』(国際書院、2007年)についての書評を発表している(『関西大学マイノリティ研究センター最終報告書 多元的世界における「他者」』上、2013年)。また、②、③についても、前述の通り、小田川大典が社会思想史学会研究大会において企画・運営した「代表制の政治哲学」セッション、犬塚元が『現代社会学事典』に寄稿した「共和制」「寡頭制」の項目等、様々な成果を挙げることができた。 以上の具体的な成果を踏まえるならば、本研究の交付申請書に記載した「研究の目的」の達成度については「②おおむね順調に進展している」と評価すべきだと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25(2013)年度以降は、研究計画に記した三つの軸のうち、主に(a)「政治理論における制度論――理論的考察」と(b)「政治思想史における制度論――系譜学的考察」に取り組み、研究会の企画・運営、研究論文の執筆、メーリングリストによる研究情報の交換などを行なっていく予定である。 小田川大典はJ・S・ミル、太田義器はグロティウス、安武真隆はモンテスキュー、犬塚元はヒューム、石川敬史はジョン・アダムズ、遠藤泰弘はギールケを主な研究対象としてきた思想史研究者であり、それぞれ(c)「古典的政治思想家における制度論――歴史的考察」を続けながら、そこで得た知見を踏まえつつ、前述の(a)(b)を進めていくことになる。そのための主な企画として、2013年秋に二つの大きな研究会の開催を予定している。具体的には、9月15・16日に北海学園大学で開催が予定されている日本政治学会研究大会での分科会「代表制の政治思想」と、10月26・27日に関西学院大学で開催が予定されている社会思想史学会でのセッション「デモクラシー論の現在」である。 勿論、これ以外にも、各メンバーは関連する学会報告、論文執筆を予定している。その一部は、2014年以降に岩波書店から刊行が予定されている『岩波講座 政治哲学』(全4巻)に収録される予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本共同研究は、文献資料を中心に進められるため「近代政治思想史における制度論の諸相」に関する研究図書や雑誌等資料(データベースを含む)と、データを分析するための情報機器を購入するための物品費が必要となる。 また、本共同研究は、メンバーの所属先が岡山、大阪、宮城、北海道、愛媛と全国に散らばっており、研究を継続的に継続していくためには、研究会開催のための旅費を確保した上で研究組織を中長期的に維持していく必要がある。
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