本研究は、ベルギーの近年の政治的不安定化が、言語対立を解消するために導入した連邦制に起因しているとみて、特に連立政権形成過程に注目して、その複雑性を解明し、政治的意図を明らかにしようとした。本研究の成果として、ベルギー政治の特殊性である国王の政治的介入の影響を見いだすことができた。すなわち通常の連立交渉が進まず、そこに国王の意図が介入するという特殊性を見いだした。また、憲法改正を伴うような国家改革の場合、合意型デモクラシーとしてマイノリティを保護するために複雑な制度的制約があり、国王の意図によって過大連合が形成され、特定の政治的意図に左右されない、つまり妥協的連邦制であることを明らかにした。
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