本研究の成果は、第一に1998年インドネシア民主化後の2004年における国軍法の制定過程で、軍改革を求める国会議員とともに学者・NGOなど市民社会の代表が法案修正に積極的に関与したことで当初の政府案よりも民主的で改革的な内容へと法案が変化したこと、第二に2000年代半ば以降、国内紛争に代わって国境・領土問題が浮上し、安全保障環境の変化に伴って政府と軍がそろって対外的脅威に注目するようになったこと、最後に対外的脅威認識のもと、軍が国軍法に新たに盛り込まれた国境地帯防衛任務に従事するようになったことで防衛予算は拡大され、その威信を高め、政軍関係も安定したこと、以上三点を明らかにしたことである。
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