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2012 年度 実施状況報告書

議院内閣制下での政党の行政府エリート輩出機能の考察・日英独の比較分析

研究課題

研究課題/領域番号 24530147
研究種目

基盤研究(C)

研究機関上智大学

研究代表者

河崎 健  上智大学, 外国語学部, 教授 (20286751)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード政党 ドイツ / 議会 ドイツ / 政党 イギリス / 議会 イギリス
研究概要

本研究は、行政府構成員(閣僚、政務次官など)の人事を決定する際の政党の影響力を調査し、「行政府エリートの人材養成機関」としての政党の重要性を指摘することを目的としている。そのため研究初年度であった昨年度は、対象として予定している日本(小泉政権・民主党政権)と英国(ブレア・ブラウン政権)、ドイツ(全政権)のデーターベースを構築することに(とくに日英については)集中した。
日本・英国・ドイツの行政府構成員のキャリアについて、日本については国内で入手できる資料を使って調査した。英国・ブレア政権については、2012年8月中下旬に英国ロンドンのLSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)付属図書館を訪問し、議員年鑑等の資料を閲覧した。ドイツについては、すでに整理したデーターベースの拡充を、やはり2012年8月中下旬のベルリン・フンボルト大学付属図書館訪問時に行った。両図書館では、併せて当該研究に関連する諸文献を渉猟した。
帰国後、データーの整理を行った。日本と英国については、さらにインターネット情報を追加して、おおよその整理を終えた。ドイツについては、すでに発表した論文(「ドイツ連邦議会はリーダー養成に適した機関か?」河崎健編『21世紀のドイツ』2011年、上智大学出版・ぎょうせい、所収)で使用したデーターを更新して、研究代表者が提出を予定している博士資格請求論文「ドイツ政党の政治エリート輩出機能」(仮)の1章に掲載した。
これ以外にも、本研究の実績の一部として、日本選挙学会年報『選挙研究』や月刊のオピニオン誌『改革者』に、ドイツの政治や政党に関する論考を発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の目的では、本研究の初年度の達成目標には、「日英独の行政府構成員」の政治キャリアを調べ、政党との関連を調べる点に置いていた。ドイツについては、すでに研究者が構築中であったデーターを更新・拡充することでかなりの目的を達成することができた。日本については、小泉政権・民主党政権の主な役職(閣僚、副大臣、大臣政務官)に就いた議員を整理することはできた。英国についても、1997年からの労働党政権の政府ポスト就任者をすべてリストアップすることができた。しかしながら、それらの議員の政治キャリアについては、議員年鑑等の資料により整理しているものの、ドイツのそれに比べると充実度が落ちることが分かった。したがって、データーベース構築の達成度は、日英については、ドイツほど進んでいるのが現状である。
しかしながら、研究予定では研究2年目である本年度の前半もデーターベースの拡充に宛てる予定である。したがって今後はすでに閲覧した以外の資料を使用して、データーのさらなる充実に努める。
1年目の研究としては、さらに研究テーマに関する日本、英国、ドイツの状況や政治学における先行研究を精読することにあった。この点については、重要と思われる基本文献を入手し、(とくに研究者がこれまであまり省みてこなかった)英国の政治や行政府の基本構造や政治学における研究の動向について、知識を深めることができた。日本やドイツについても、最新の研究動向を踏まえつつ、さらなる知見を得ることができた。また本研究について、ベルリンのフンボルト大学で研究者と知己のある研究者と意見交換をすることもできた。

今後の研究の推進方策

上記のように、今年度の前半までに完成を予定している日本(小泉政権と民主党(鳩山・菅・野田政権)と英国(ブレア・ブラウン労働党政権)の行政府構成員の政治キャリアのデーターを完成させる。イギリスについては、今年度も再度、渡英して、昨年度に入手できなかった資料を渉猟する予定である。上記LSE図書館以外に、大英図書館も訪問する予定である。ドイツについては、データー構築はとりあえず完了したが、本年9月にドイツでは総選挙が予定されている。政権が交代するか否かは未知数であるが、いずれの場合でも(少なくとも一部閣僚・政務次官の)人事異動は必至である。したがってドイツの新政権の行政府構成員については、総選挙につづく組閣終了後の時点でデーターに追加情報を載せる予定である。
加えて、本年度には、3国の事情についてのさらなる情報・知識の習得に努める。とりわけ、3国の政府機構の歴史的な発展については本研究ではこれまでほとんど省みることができなかった。しかしこの1年間の調査から、歴史的経緯についての知見を踏まえないと十分な論考ができないことを痛感したため、本年度には極力、この分野の文献を渉猟し、知識を深めるように努める所存である。

次年度の研究費の使用計画

昨年度同様、1度の渡英して現地での資料収集を予定している(時期は本務校の学内業務や授業との兼ね合いがあるため未定)。また渡独も併せて予定している。ドイツにおいても資料収集と同時に知己のある研究者との交流も予定している。またもし時期的に可能であれば、9月下旬に予定されているドイツ連邦議会選挙の取材と資料収集と合わせた時期に渡独をしたい。英独では、渡航費・宿泊費以外に、資料の複写代や貴重資料・文献の購入費も使用する予定である。またドイツ図書館では、入館料が必要になる場合もある。
他には主にさらなる知見を深めるための資料費・文献購入費に使用する予定である。日英独の政治や政府機構に関する文献で、昨年度に入手できなかったものの購入が主ではあるが、上記のように、歴史的発展についても考察を深めるための、政治史を扱った文献や論文等の資料についても、今年度以上に渉猟・入手をする予定である。
また本年度にデーターベースが構築できた後には、統計分析も予定しているため、コンピューターの統計ソフトを購入する予定である。
他方、昨年度の研究計画書を提出後に今年度9月に北海道・北海学園で開催予定の日本政治学会でドイツ政治に関する研究発表を行うことになった。学会訪問のための渡航費・宿泊費も(可能であれば)支出する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 書評:熊谷徹『脱原発を決めたドイツの挑戦』角川SSC新書。2012

    • 著者名/発表者名
      河崎健
    • 雑誌名

      改革者

      巻: 12月号 ページ: 64, 64

  • [雑誌論文] 救済策は選挙控え対立点に-ドイツはユーロ危機の救世主たりえるか-2012

    • 著者名/発表者名
      河崎健
    • 雑誌名

      改革者

      巻: 8月号 ページ: 6,9

  • [図書] 世界政治叢書2 EU・西欧2012

    • 著者名/発表者名
      押村高・小久保康之
    • 総ページ数
      1, 238
    • 出版者
      ミネルヴァ書房

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公開日: 2014-07-24  

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