本年度は4名の女性議員インタビューを行い,はじめて現職者にもインタビューを実施した.また,海外調査としてはドイツおよびニュージーランドを追加し,女性議員の支援体制やクオータ等の措置に関する情報収集を行った. 本研究の成果をまとめるにあたり,2月に報告を兼ねたシンポジウムを開催することとし,それに向けて研究協力者たちと分析枠組みの精緻化をおこなった.3年間の研究期間で実施した計12名のインタビュー記録をもとに,キャリア・パス,ジェンダー平等政策への関わり,女性を代表することの意識を整理し,比較分析を行った. 女性議員がどのような条件で影響を持てるかを考えると,コミットメント,ポジション,ネットワークの三要素が重要であるとの結論を得た. また時代的制約も大きいことが判明し,1990年代と2000年代では異なる政治状況が出現し,そのことが女性議員の活躍を規定した点も明確になった.これらの知見をもとに,さらにインタビュー調査を精査し,シンポジウムでの報告内容を厳選した. シンポジウムでは,全体像の紹介(三浦まり),郵送調査の分析(大山七穂),1990年代の分析(進藤久美子),メディア出身者の分析(国広陽子)を取り上げ,報告し,コメンテーターとして中北浩爾一橋大学教授を招いた.
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