研究課題/領域番号 |
24530152
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
稲継 裕昭 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90289108)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 米国 / 英国 |
研究概要 |
本研究は、地方公務員制度と国家公務員制度の規定方法、内容、それらの統一性・準拠性の有無や程度が、中央地方間の人的交流に影響を及ぼしているか、また、中央地方のガバナンスに影響を与えているかについて、国際比較の視野もいれつつ検証しようとするものである。日本では地方公務員法は、国家公務員法に準拠する形で規定され、定年制や週休二日制など、ほぼ時を同じくして改正されてきた。服務規程など共通部分も多い。そのことは、「公務員」という一括りの概念を持つことを可能にし、人的交流も活発になされてきたが、このことが地方ガバナンスに与えている影響についても考察を行うものである。 平成24年度においては、諸外国の状況調査について、文献による調査のほか、6月に総務省の研究会の出張調査の際に米国の州公務員制度の現地調査をあわせて行った。また、10月には、英国における他の出張の際に英国地方自治体における人事制度の調査も行った。 国内については、平成24年11月に地方公務員法改正案および地方公務員労働関係法案が国会に上程されたものの、翌日衆議院解散により廃案になるという事態があった。その結果、平成19年に国家公務員法が改正された部分(能力・実績主義、人事評価制度)の地方公務員法改正はいまだ実現していない状態が継続することになった。これらの状況についてのトレースも行った。 なお、適用可能な理論モデルの探求は引き続き行っている。公的部門の人的資源管理に関する理論研究は皆無に近いので、他の分野の理論の応用可能性を探っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本国内の実態調査については、ほぼ予定通りの進捗状況と考えられる。国家公務員制度改革については、平成23年度法案(国家公務員制度改革関連4法案)が平成24年11月の衆議院解散により廃案となった。国の国家公務員労働関係法案にあわせて平成24年11月に提出された地方公務員労働関係法案もまた同時に廃案となった。この際、同じく提出されていた地方公務員法改正法案(平成19年の国家公務法改正に平仄を合わせるもの)もまた廃案となったため、平成19年国家公務員法改正部分については、国と地方とで異なる規定が存在するという状態が継続している。人事評価制度の規定はその代表的な例である。本研究については、その規定の遅れが地方の人事評価制度の普及度合いに及ぼしている可能性についても検討を進めた。 諸外国の公務員制度に関する調査は、調査がある程度進んだ国(米国など)と、あまり手を付けられなかった国(韓国など)がある。平成25年度以降、キャッチアップしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
少し遅れている感のある「適用可能な理論モデル」については、平成25年9月以降、カリフォルニア大学バークレー校において特別研究期間に入るため、そこで集中的に検討を進めたい。 また、文献調査が遅れている韓国、フランス等についても、検討を進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
文献調査のための書籍等消耗品の購入。 諸外国の実態調査のための海外旅費。 国内における自治体人事行政実態調査のための国内旅費。
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