本研究は、地方公務員制度と国家公務員制度の規定方法、内容、それらの統一性・準拠性の有無や程度が、中央地方間の人的交流に影響を及ぼしているか、また、中央地方のガバナンスに影響を与えているかについて、国際比較の視野もいれつつ検証しようとするものである。 日本では地方公務員法は、国家公務員法に準拠する形で規定され、定年制や週休二日制など、ほぼ時を同じくして改正されてきた。服務規程など共通部分も多い。そのことは、「公務員」という一括りの概念を持つことを可能にし、人的交流も活発になされてきたが、このことが地方ガバナンスに与えている影響について考察しようとした。 平成26年4月に国家公務員法等が改正され内閣人事局が創設された。それ以前の平成19年改正において人事評価制度の導入など能力実績に基づいた人事制度の構築の改正があったが、地方については同様の改正は遅れていた。しかし、平成26年5月に地方公務員法の一部改正があり、人事評価関連の4つの条文が新設され、平成27年度中の施行が予定されている。 このように日本においては、国家公務員制度の諸規定改正は、一定の時間をおいて地方公務員制度にも大きな影響を与えている。同一法で規定しているフランスは両者の近接性がもっと大きい。他方、米国では連邦政府職員制度と州政府職員制度との間には大きな違いがあり、また、州内において州職員制度と、個別の自治体職員制度との間には大きな隔たりがある。
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