ペロニズムへの労働者への支持をめぐって、1943-46年の期間のおいては旧労働運動指導者の合理的選択だったとするムルミスとポルタンティエロの説に対して、本研究は45年10月17日事件の再検討を通して、彼らのペロン支持にも感情的支持は否定しがたいこと、エビータへの熱い支持が45年10月に始まっていたことを明らかにした。また、46年以降における新旧の労働者のエビータに対する熱狂的な支持には感情的・心理的要因だけでなく、エビータが女性参政権の制定やエバ・ペロン財団に依拠した救貧活動などの彼女による具体的な成果が労働者大衆を魅了したとの事実も無視できないことを明らかにした。
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